保有率が78.5%*を超え、日常生活にどんどん普及しているマイナンバーカードに有効期限があることはご存じでしょうか。カード自体は10年、ICチップに内蔵されている電子証明書は5年ごとに自治体窓口で更新が必要になっています。なおかつ、マイナンバーカードを運転免許証として利用できる「マイナ免許証」を登録している場合、マイナンバーカードの方を更新すると免許証情報が引き継がれない仕様になっているため注意が必要なのです。2025年は有効期限を迎える人が急増するといわれており、各自治体は準備に余念がないようです。本記事でマイナンバーカードの更新についてまとめました。*:2024年1月時点の住基人口(1億2488万人)に対する25年4月末時点での保有枚数の割合目次カード自体の有効期限は10年まず、マイナンバーカードには2つの有効期限があります。カード自体の有効期限と、ICチップに格納されている電子証明書のそれです。マイナンバーカード:発行日から10回目の誕生日(18歳未満は5回目)まで電子証明書 :発行日から5回目の誕生日まで(年齢を問わず)大ざっぱに言うと、マイナンバーカードは10年間(18歳未満は5年間)、電子証明書は5年間ということです。そして18歳以上の場合だと電子証明書の2回目の更新時にはカードも同時に更新されるということです。更新後はカードは10年(更新から10回目の誕生日)、電子証明書は5年(更新から5回目の誕生日)*の新たな有効期限が設定されます。*:早ければ2026年度中に導入される新しいマイナンバーカードは電子証明書も10年になる可能性あり更新手続きは有効期間の満了する日の3カ月前から可能になります。更新にかかる手数料は無料です。ただ、有効期限を過ぎてしまうとカードの再交付を申請しなければならなくなるため注意が必要です(再交付手数料がかかります)。有効期限の2~3カ月前をめどに地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から有効期限通知書が送付されますので、それを確認するようにしましょう。・参考:https://www.kojinbango-card.go.jp/card/renewal/なお、マイナンバーカードの更新時には、券面の顔写真を所有者本人の最新の情報(つまり直近の容貌)に合わせることが必須となっているので、6カ月以内に撮影した写真が必要になります。日進月歩の技術に合わせ5年更新では、なぜ電子証明書は5年間という短い有効期限が設定されているのでしょうか。それは、電子証明書の安全性と信頼性を担保するためです。近年のデジタル技術の進歩とコンピューターの性能向上のスピードには目を瞠るものがあり、更新の感覚が長いと、電子証明書の安全性が十分に保たれない恐れが出てくるのです。そんな電子証明書について少し解説します。電子証明書とは、J-LISが信頼できる第三者(認証局)として、間違いなく本人であることを電子的に証明する際に利用されるデータのことです。書面取引における実印と印鑑証明書の役割を果たすイメージです。電子証明書には次の2種類があり、それぞれ別の用途があります。署名用電子証明書Webサービスへの初回登録時に本人確認をする際など、電子文書の作成や送信時に利用される。本人がその文書を作成したことを証明する(例:オンラインでの行政手続きで署名が必要な場合や電子文書を送信する際に改ざんが無いことを確認するために使用)利用者証明用電子証明書インターネットサービスにログインする際など、利用者がそのサービスの利用者本人であることを証明するために使用されるこれらの電子証明書はいわば「公開鍵」であり、秘密鍵とセットでICチップに格納されています(下図)。 ↑出典:マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載について (総務省 情報流通行政局、2021年9月)例えば、署名用電子証明書には鍵の所有者情報として基本4情報(氏名、住所、生年月日、性別) が埋め込まれています。このため、証明書データを見ることで電子文書の作成者が誰であるのかを確認することができます。これらに応用されている暗号技術は、現在のコンピューター性能では現実的な時間内に暗号を解くことが難しいこと(計算困難性)を安全性の根拠としています。これは裏を返すと、コンピューターの計算能力が上がって現実的な時間で解けるようになるかもしれない未来においては、もはやその暗号は安全であるとは言えないのです(このように暗号の安全性が低下してしまうことを危殆化と言います)。この危殆化を未然に防ぐため、電子証明書の有効期限は5年間に設定されているのです。なお、この辺りの技術的な内容は、以下の「マイナ活用.com」別記事で詳説していますのでご覧ください。・マイナ活用.com_公的個人認証サービス(JPKI)を支える技術「デジタル署名」と「公開鍵基盤」を徹底解説(2024/10/15公開)なお、政府が2026年度中の導入を目指している新しいマイナンバーカードは、電子証明書の有効期限を10年に延長する方向で検討されています(18歳未満は現行どおり5年)*。10年という長い期間に耐えうる強固な暗号方式への移行も同時に検討されており、政府には安全性・信頼性に万全を期して準備することを強く期待します。*出典:次期個人番号カードタスクフォース最終取りまとめ案のP.2電子証明書の「2025年問題」ことし2025年はマイナンバーカードと電子証明書の有効期限を迎える人が急増しているようです。その主因は2つです。まず、カードの発行が始まったのが2016年1月だったことから、2025年に入り10回目の誕生日を迎える人が出てきているのです。2つ目が新型コロナウイルス禍を受けた政府の定額給付金とマイナポイントの支給事業が2020年にあったためです。マイナンバーカードに公金受け取り用口座を紐づけると給付金が早期に振り込まれたほか、マイナンバーカードの新規取得や健康保険証としての利用申し込みなどで最大2万円分のポイントポイントがもらえたため、マイナンバーカードの交付が急増したのでした。そこから5年が経ち、電子証明書の更新時期が来ているわけです。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の事業報告書によれば、2023年度(令和5年度)は電子証明書の更新を199万件行い、マイナンバーカードの有効期限が到来する人に43万通の通知を発送したそうです(下グラフ)。そして、東京新聞の記事は、総務省への取材の結果として、2024年度に690万人が、2025年度には1580万人が電子証明書の更新が必要となると見込まれると報じています。・参考:マイナカードの「2025年問題」知ってる? 券面には書かれていない有効期限が…すでに大混雑の窓口も(2025/4/8、東京新聞電子版)同記事によれば、各自治体は職員を増員したり更新後のカード受け取りの予約枠を拡大したりしており、本庁舎だけでなく支所でも手続きができることを周知しています。なお、当社(ポケットサイン株式会社)社員が今年3月中旬に居住地の役所で電子証明書の更新の手続きをしたと話していました。ひっきりなしに住民が窓口を訪れて混雑していましたが、対応する職員が大きく増員されていたようで、受付から更新完了まで15分程度で終わったそうです。マイナ免許証の登録にも注意を一方で、マイナンバーカードの更新に際しては、マイナンバーカードと運転免許証を一体化させた「マイナ免許証」の登録との兼ね合いでも注意が必要です。・マイナ免許証の詳細はこちら >> 色々と有利なマイナ免許証! 利点と注意点を簡単解説(2025/3/12、マイナ活用.com)マイナンバーカードのICチップに免許証の情報を登録することで、免許証として利用できるのが「マイナ免許証」です。マイナ免許証にはマイナンバーカードの有効期限と、免許証の有効期限とが別々に存在します。マイナンバーカード自体を更新すると、新しいカードに交換されますが(以前のカードは返納)、現状はシステムの制約上、新しいマイナンバーカードのICチップに免許証情報が引き継がれません。このため再度、警察署や運転免許試験場で新しいマイナンバーカードと免許証の一体化の手続き(再記録)が必要になるのです(再記録にかかる手数料は警視庁の場合1500円です)。この再記録をしないままマイナンバーカードのみを携行して自動車を運転すると「免許不携帯」となってしまいます。このため、マイナンバーカード自体の有効期限が近い人がマイナ免許証を利用するには、先にマイナンバーカードを更新してから一体化の手続きを行うか、従来の免許証との2枚持ちとする方が賢明でしょう。なお、このようなシステムの難点が改善されるのは2025年秋頃だそうです。・参考:注意事項_マイナンバーカードの有効期限が近い方へ(警視庁HP)マイナンバーカードの活用ならPocketSignマイナンバーカードは単なる行政サービスのツールではありません。デジタル社会における本人確認の基盤となり、私たちの生活をより便利に、そして安全なものへと変えていく力を持っています。当社はその可能性を最大限に引き出し、誰もが安心してデジタル社会の恩恵を受けられるよう、公的個人認証サービス(JPKI)*への対応をはじめとした様々なサービスを開発・提供しています。*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure): マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に認証する仕組みのことです。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長です。なお、JPKIを他者に提供するには、公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けて「プラットフォーム事業者」になる必要があります。当社は2023年3月に民間事業者としては16 社目となるプラットフォーム事業者認定を取得しています。また、地方自治体や民間事業者向けのJPKIに対応したスマートフォン向けアプリ 「ポケットサイン」は、防災や地域ポイント、お知らせ機能など、複数の行政・地域サービスをひとつに集約できるスーパーアプリです。なおかつ、他社が「ポケットサイン」上にミニアプリを構築・連携できる仕組み「PocketSign LINK(ポケットサイン・リンク)」も整備しています。これにより、ID連携を通じてサービス間をスムーズに行き来でき、たとえば健康ウォークの歩数に応じてポイントを付与するといった機能も実現可能となり、単なるスーパーアプリにとどまらず、住民の利便性向上や地域活性化を支えるプラットフォームとしても幅広く活用されています。以下ページより、導入事例やサービス概要をまとめた「ポケットサイン」サービス資料をダウンロードいただけますので、スーパーアプリや地域DXにご興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。▼自治体向け「ポケットサイン」資料ダウンロードhttps://pocketsign.co.jp/contact/download/governmentこのほかにも、マイナンバーカードのご活用に関する事柄は、ぜひ実績豊富な当社にご相談ください。▼問い合わせはこちらからhttps://pocketsign.co.jp/contact▼ポケットサインについてはこちらhttps://pocketsign.co.jp/