携帯電話不正利用防止法が再び改正されます。同法をめぐっては、この2026年4月1日の改正により、非対面での契約(オンライン契約)において本人確認書類の画像や本人の容貌写真(自撮り画像)を送付させる方法が原則廃止されたばかりです。次なる改正では、これまで本人確認が不要だった「データSIM」の契約時の本人確認を携帯電話事業者に義務付けます。また、2回線目以降の契約においても、これまで認められていた簡易的な本人確認が禁止され、「特殊詐欺のツール」遮断に向けた包囲網は着実に狭まります。本記事では、最近報道されたニュースから、私たちの生活を格段に便利にしたデジタル社会下における本人確認の徹底について考えます。・関連記事:本人確認の厳格化が進行中|券面確認廃止と「ICチップ読み取り」の重要性(マイナ活用.com、2026年2月17日公開)目次急増する特殊詐欺被害とデータSIMへの法規制政府は2026年3月24日、SNSなどを使った詐欺への対策を強化するため、携帯電話不正利用防止法の改正案を閣議決定し、国会に提出しました。これまで、通話とインターネットの両方が利用できる音声通話SIMの契約には本人確認が義務付けられていました。しかし、インターネット通信のみ利用できるデータSIMに関しては、本人確認が不要でした。データSIMは通話可能ではなく、「携帯音声通信役務」の提供を受けることができないため、同法の対象外とされてきたのです。・参考:総務省「Q&A -携帯音声通信事業者向け-」の2-2今回の改正で、このデータSIMの契約時にも本人確認を携帯電話事業者に義務付けます。狙いは詐欺対策です。近年、これらデータSIMを不正に用いた特殊詐欺による被害が後を絶ちません。通話はできなくともデータ通信ができれば、詐欺集団は様々なメッセージアプリを多用して架空投資への勧誘やロマンス詐欺などに手を染めることができるのです。今回の法改正により、こうしたSNS型投資詐欺の「道具」であるデータSIMの不正契約に一定の歯止めがかかると期待されます。警察庁によると、2025年における特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺、インターネットバンキングの不正送金による被害額は計3345億円となり、過去最悪だった2024年(2059億円)を大きく上回りました。・参照先:令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)(警察庁、2206年2月13日)特に2023年に統計を取り始めたSNS型投資・ロマンス詐欺の伸びは大きく、2025年の被害額は2023年の4倍にあたる1827億円に上りました。その他の特殊詐欺も2025年は前年の2倍となる1414億円に達し、インターネットバンキングの2025年の不正送金被害は2024年から2割増えて100億円を超えました。2回線目以降の簡易的本人確認は禁止にそうした中、つい最近も携帯電話(スマートフォン)の不正契約をめぐる事件が世間の耳目を集めました。警視庁が楽天モバイルの通話回線を不正に契約できるサイトを開設したとして、都内に住む少年を電子計算機使用詐欺ほう助の疑いで逮捕したのです。・参考:楽天モバイルの「eSIM」、不正契約サイト開設か 19歳少年を逮捕(日経電子版2026年3月10日公開)当該記事によれば、少年は2024年6〜10月、サイト訪問者が他人名義で回線契約ができるよう幇助した疑いが持たれていました。少年はインターネット上で他人の楽天IDやパスワードを大量に入手したうえで、通信契約の内容をオンラインで書き換えられるeSIM(イーシム)の契約に必要な認証情報を、サイトで販売したというものです。楽天モバイル回線の不正契約をめぐっては2025年2〜3月にも、他人のIDで不正ログインして回線を契約したとして少年グループが摘発されました。当時、楽天モバイルは2回線目以降の契約では一定条件を満たすと身分証などを使った本人確認を省略していました(現在は改めています)。携帯電話不正利用防止法施行規則第3条第3項・第4項で、既に契約を締結している人と新たに契約を締結する場合には、IDとパスワードによる簡易的な方法による本人確認が認められていたためです。前述の少年たちは、まさにここを突いたわけです。しかし、事件を受けて総務省が重い腰を上げ、2026年4月1日以降はこの抜け穴が塞がれました。2回線目以降の契約をする場合も、契約相手が既に契約を締結している人と同一人物であることを多要素認証で照合しなければならなくなったのです。・参照先:総務省「Q&A -携帯音声通信事業者向け-」の7-2なお、多要素認証の方法は下記が挙げられています。所持認証+知識認証知識認証+生体認証所持認証+生体認証所持認証+知識認証+生体認証所持認証とは、現に所持している端末を有していることを確認することで本人認証する方法です。知識認証はIDやパスワード、秘密の質問など当該ユーザーだけが知っている情報を用いて本人確認を行う仕組みを指します。「確実かつ簡便な本人確認」が必要これら2つのニュースから見えてくるのは、詐欺グループは法規制の中で相対的に甘い部分を「抜け穴」として常に狙っているという点です。最初の章で触れたとおり、SNS等を介した特殊詐欺の被害額は急増しており、その主要ツールである携帯電話(スマートフォン)の不正契約の撲滅は喫緊の課題です。そのためには厳格な本人確認の徹底によってなりすましを防ぐことが必須であり、携帯電話不正利用防止法と犯罪収益移転防止法(犯収法)の改正が相次いで行われます。・参考記事:本人確認の厳格化が進行中|券面確認廃止と「ICチップ読み取り」の重要性(マイナ活用.com 2026年2月17日公開)とはいえ、本人確認手法を徒に厳格化するだけでは、ユーザーの利便性が大きく損なわれてしまいます。特に犯収法は金融機関での口座開設や不動産取引、クレジットカード契約など様々なサービスが対象になります(下図:特定事業者による取引で本人確認が厳格化)。そこで、厳格かつ簡便な本人確認方法が求められるわけですが、その最適解を提供できるのが、マイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス(JPKI)*です。*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure):マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に認証する仕組みのこと。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長。2026年4月から、携帯電話不正利用防止法の改正で非対面での契約(オンライン契約)において、本人確認書類の画像や写し、本人の容貌の写真(自撮り画像)を送付させる方法が原則廃止されました。その結果、JPKIをはじめとするICチップの読み取りなどが義務化されています。2027年4月には、犯収法施行規則の改正により金融機関などの非対面(オンライン)取引に加え、銀行窓口などの「対面取引」においても、書類の提示だけでは不十分となり、JPKIなどICチップ情報の読み取りが原則義務付けられます。JPKIは、マイナンバーカードをスマートフォンやICカードリーダーにかざすだけで、厳格な本人確認が可能になります。また、スマートフォンにマイナンバーカードを登録していれば、マイナンバーカードのかざし自体も不要になるという高い利便性があります。そして、JPKIが厳格な本人確認が可能な理由は、マイナンバーカードのICチップにあります。マイナンバーカードのICチップは耐タンパー性*を備えているため、偽造や不正なアクセスはほぼ不可能とされています。その堅牢なICチップ内に、本人確認で必要となる電子証明書が格納されているのです(下図)。なおかつマイナンバーカードの電子証明書は、市町村の窓口において厳格な対面による本人確認を経て発行されますので、二重にセキュリティーが担保されていると言えます。マイナンバーカード活用ならポケットサイン以上みてきたとおり、2026年の携帯電話不正利用防止法、2027年の犯収法施行規則の改正に向け、民間事業者はアプリの開発や改修が必須となります。 ただ、事業者が自前でネイティブアプリを開発する場合、ICチップ読み取り機能の実装に加え、テスト用マイナンバーカードの手配や検証に多大な期間を要します。そこで自社開発よりもはるかに容易にJPKIを導入できるようにするのが、当社ポケットサインのAPIサービス「PocketSign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)」です(下図)。PocketSign Verifyでは証明書を用いたデジタル署名の検証を行うAPIと、マイナンバーカードと通信して署名の生成や証明書の吸い出しを行うSDK(ソフトウェア開発キット)を利用できます。PocketSign VerifyはJPKIはもちろん、前章で解説したICチップ読み取りにもスムーズに対応可能です。なお、JPKIを他者に提供するには、公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けて「プラットフォーム事業者」になる必要があります。当社は2023年3月に民間事業者としては16 社目となるプラットフォーム事業者認定を取得しています。かつPocketSign Verifyは、マイナンバーカードを使わずにスマートフォンのみで公的個人認証サービス(JPKI)を利用できる「スマホJPKI」への対応を完了しています。・参考:PocketSign VerifyがiOSの「スマホJPKI」に対応(2025年6月24日付プレスリリース)・Pocketsign Verifyについて:https://pocketsign.co.jp/service/pocketsignplatform#verifyそのほかにも、マイナンバーカードのご活用に関する事柄は、ぜひ実績豊富な当社にご相談ください。▼問い合わせはこちらからhttps://pocketsign.co.jp/contact▼ポケットサインについてはこちらhttps://pocketsign.co.jp/