「マイナンバー」という言葉はよく耳にするけれど、制度や詳しい内容についてはよく分からないという方もいるのではないでしょうか?「マイナンバーカード」は作ったけれど、番号自体は普段使う機会がないし、何のために必要なのか疑問に思っている方もいるかもしれません。実は、マイナンバー制度は、私たちの生活をより良く、そして便利にするためのデジタル社会の基盤となる重要な仕組みです。この記事では、マイナンバー制度の基礎知識から、私たちの生活への影響、そして安心して活用するためのポイントまで、分かりやすく解説していきます!目次マイナンバー制度で実現することマイナンバー制度は、2016年から始まった、国民一人ひとりに12桁の個人番号(マイナンバー)を付与し、行政手続きを効率化するための仕組みです。複雑な手続きや、何度も同じ書類を提出する手間を減らし、必要な人に必要な支援を迅速に行き届かせることを目指しています。以前は、行政機関ごとに別々の番号で管理されていたため、例えば、引っ越しや結婚など、複数の行政手続きが必要な場合は、同じような情報や書類を何度も提出する必要がありました。しかし、マイナンバー制度によって、状況は大きく変わってきています。マイナンバー制度では、 複数の行政機関があなたの情報を安全に共有できるようになったため、手続きがシンプルになり、時間も大幅に短縮されました。例えば、引っ越しに伴う住民票の異動や、結婚に伴う姓の変更など、複数の行政手続きを一度に行う場合でも、マイナンバーを提示するだけで、スムーズに手続きを進めることができます。出典:マイナンバー制度の目的と効果(内閣府)「マイナンバー」と「マイナンバーカード」は何が違う?マイナンバー制度を利用する上で欠かせない「マイナンバーカード」ですが、「マイナンバー」と「マイナンバーカード」は全くの別物です。この違いを理解することが、マイナンバー制度をより便利に活用する上で重要となります。まず「マイナンバー」は、12桁の個人番号そのものを指します。あなたは生まれた時に住民票が作られ、同時にマイナンバーが割り振られました。「マイナンバー」は、あなたを識別するための番号である一方、あなたの情報が記録されているものではありません。一方「マイナンバーカード」は、マイナンバーが記載された、顔写真付きのICチップ入りカードです。あまり知られていませんが、このICチップには、 マイナンバーとはまったく別の仕組みで、オンラインでの本人確認や電子署名に利用できる電子証明書が搭載されています。これが、マイナンバーカードを単なる「番号が書かれたカード」ではなく、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めたものとしているのです。「マイナンバーカード」を取得することで、私たちはコンビニで住民票などの証明書を取得したり、自宅からオンラインで確定申告などの行政手続きを行ったりできるようになります。詳しくは、別記事 「マイナンバーカードのICチップ徹底解説!本人確認が劇的に変わる!」 で解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。マイナンバーの利用シーンと情報連携の仕組みマイナンバーは、主に 年金、医療、福祉、雇用保険、税金、災害対策 など、様々な行政サービスの手続きに利用されています。出典:マイナンバーまるわかりガイド保存版(デジタル庁)これらの手続きを行う際に、マイナンバーを提示することで、行政機関はあなたの情報を正確に把握し、スムーズな対応が可能になります。情報連携の仕組みと安全性マイナンバー制度では、行政機関同士があなたの情報を共有する「情報連携」が行われていますが、プライバシー保護の観点から、 マイナンバーそのものが直接やり取りされることはありません。情報連携には、 マイナンバーを基に作られた、あなたの個人情報を含まない専用の符号(暗号化された情報) が使われています。例えるなら、 あなたの代わりに、あなたの情報を伝えるための特別な暗号 を行政機関同士がやり取りしているようなイメージです。出典:マイナンバー その保護と活用(個人情報保護委員会)また、情報連携は法律で定められた範囲内でのみ行われ、個人情報保護委員会という第三者機関が、マイナンバーを含む個人情報が適切に管理されているか監視・監督しています。これらにより、あなたの個人情報が漏えいすることなく、安全に情報連携が行われます。マイナンバーを安全に使うための3つのポイントマイナンバーは重要な個人情報なので、適切な取り扱いが大切です。安心してマイナンバー制度を活用するために、以下の3つのポイントに注意しましょう。マイナンバーの提供は慎重に: 法律で定められた場合を除き、マイナンバーを安易に他人に教えたり、不用意に公開したりしないようにしましょう。勤務先、金融機関、行政機関などから、法律に基づいた正当な理由でマイナンバーの提供を求められた場合に限り、提供するようにしましょう。不審な電話やメールでマイナンバーを聞かれても、絶対に答えてはいけません。マイナンバー通知カード・マイナンバーカードは大切に保管: 紛失や盗難を防ぎ、もしもの場合は、すぐに市区町村やマイナンバーカードコールセンターに連絡して、利用を停止しましょう。マイナンバーの不正利用に注意: マイナンバーを不正に利用しようと企む悪質な業者や詐欺には注意しましょう。不審な電話やメールには対応せず、少しでもおかしいと感じたら、警察や消費生活センターに相談しましょう。知っておくと便利な2つの制度マイナンバー制度には、私たちの生活をより便利にするための2つの制度があります。1. 公金受取口座登録制度: 給付金をスムーズに受け取る公金受取口座登録制度は、 給付金などの受け取りをよりスムーズにするための制度です。あらかじめ自分の預貯金口座をマイナンバーと紐付けて登録しておくことで、災害時の給付金などがあなたの口座に直接、迅速に支給されます。出典:公金受取口座登録制度(デジタル庁)登録は任意ですが、以下のようなメリットがあります。緊急時に、申請書への口座情報の記載や、通帳の写しの添付が不要になる給付金の支給が迅速化される登録は、マイナポータルや確定申告時に行うことができます。令和6年度末頃からは、金融機関の窓口でも登録が可能になる予定です。2. 預貯金口座付番制度: 相続手続きをもっと簡単に「預貯金口座付番制度」は、相続や災害時に備え、預貯金口座をマイナンバーと紐づける制度です。2024年4月1日に改正口座管理法が施行され、この制度の仕組みが新しくなりました。マイナンバーと預貯金口座の情報が紐づけられることで、相続発生時に、相続人があなたの預貯金口座をスムーズに確認できるようになります。また、大規模災害発生時など、ご自身が金融機関の窓口に行けない状況でも、マイナンバーを通じてご自身の口座情報を確認できるようになるなど、いざという時に役立ちます。出典:口座管理法制度って知っていますか?(デジタル庁)すでに、 金融機関の窓口で登録手続きが可能です。改正口座管理法の施行により、2024年度末頃(予定)には、一つの銀行等に口座とマイナンバーの付番を届け出た際に、希望すれば別の銀行等の口座も一度にまとめてマイナンバーと付番することが可能になります。また、同じく 2024年度末頃には、マイナポータルからも登録できるようになる予定です。こちらも登録は任意ですが、将来のトラブル防止の観点から、検討することをおすすめします。マイナンバー制度は、始まってまだ10年も経っていない新しい制度です。今後、テクノロジーの進化や社会状況の変化に伴い、 私たちが想像もしていなかったような新しい活用方法が生まれてくることでしょう。まとめ|正しく理解して、マイナンバー制度を賢く活用しようマイナンバー制度は、私たちの生活をより良くするためのもの。仕組みや役割、安全対策を正しく理解して、安心してマイナンバー制度を活用していきましょう。またマイナンバー制度は、まだ発展途上の制度であり、今後、さらなる進化が期待されています。あなた自身は、マイナンバー制度を活用して、どんなことができたらいいな、と思いますか?ぜひ、ご自身の未来を想像しながら、マイナンバー制度について考えてみてください。参考資料個人情報保護委員会『マイナンバー(個人番号)ハンドブック ~ マイナンバー制度を理解したい方へ ~』(2019年3月)デジタル庁『マイナンバーカードの普及・利用について』(2024年6月)総務省自治行政局住民制度課『知っておきたい マイナンバーカードの基礎知識』(2020年3月)デジタル庁『民間向け マイナンバーカードご参考資料』(2023年2月)個人情報保護委員会事務局『マイナンバーガイドライン入門(行政機関編、金融業務編、事業者編)』(2024年6月)