Case study

導入事例

2026-06-26

「職員だけでは限界がある」避難所受付と避難状況の把握をデジタル化|熊本地震の教訓から始まった熊本市の防災DX

公式アプリ「くまもとアプリ」に見る、共助・自助を支える仕組みづくりのリアル

2016年に発生した熊本地震では、避難所に多くの避難者が集中し、受付や避難状況の把握、避難所運営のあり方など、災害対応におけるさまざまな課題が浮き彫りになりました。

熊本市の指定避難所171か所のうち一部が被災して使用できなくなる中、翌日には11万人が避難。避難所によっては1,000人を超える避難者が集まり、指定避難所だけでは受け止めきれず、区役所などの非指定施設にも避難者が押し寄せました。さらに、余震への不安から車中泊を選択する人も多く、避難者の約4割が健康リスクの高い車中泊だったことも、後の調査で明らかになっています。

こうした経験を踏まえ、熊本市では、避難所受付の効率化や、避難所以外にいる避難者の状況把握に向けて、防災DXの検討を進めてきました。その中で導入されたのが、マイナンバーカードを活用し、平時と災害時の両面で使える市民向けアプリ「くまもとアプリ」です。

ただし、熊本市が目指したのは、単に「避難所受付をデジタル化すること」ではありません。災害時だけに使う防災アプリでは、いざという時に使われにくい。だからこそ、平時から市民に使われる仕組みとして育て、災害時にも自然に活用できる状態をつくる。そこには、熊本地震を通じて再認識された「共助・自助」の重要性と、人口減少が進む中で自治体職員だけに頼らない災害対応を実現したいという思いがありました。

本記事では、熊本市 防災計画課の西川様に、アプリ導入の背景、熊本地震で見えた課題、実証実験・実災害での活用、そして今後の展望についてお話を伺いました。

(写真:熊本市防災計画課・西川様)
(取材・構成:ポケットサイン株式会社)

「職員だけでは限界がある」熊本地震で再認識した共助・自助の重要性

ーーまず、西川様ご自身のご経歴と、現在のお立場について教えてください。

西川様 私は入庁5年目で、1年目から防災部局に所属しています。職種としては情報職で、防災関連システムの導入検討や管理、DX推進のような業務に携わっています。もともとは民間企業で働いていて、熊本県内へのUターン転職という形で熊本市に入りました。

ーー熊本市の防災というと、やはり熊本地震の経験が大きいと思います。西川様ご自身は、当時熊本市にいらっしゃったのでしょうか。

西川様 熊本地震の時は、私は東京で民間企業に勤めていたため、熊本市にはいませんでした。そのため、実際に地震を経験したわけではありません。ただ、防災担当になってから、当時の課題についていろいろな方から話を聞いたり、記録を見たりして把握してきました。その課題の解決に向けて、今回のアプリ導入につながっていったのだと思います。

ーー記録や当時を知る方々の声から課題を捉えていったのですね。熊本地震の際には、具体的にどのような課題があったのでしょうか。

西川様 物資供給や受援体制など当時様々な課題が発生しましたが、その中でも避難者対応について大きく三つあります。

一つ目は、職員中心の避難所運営体制の限界です。当時、避難所によっては地域団体や避難者との協力体制を十分に築けず、職員が中心となって運営を担わざるを得なかったという状況がありました。

ただ、職員だけで避難所を回そうとしても、避難者一人ひとりの状況や避難所全体の様子を把握するには限界があります。職員自身も被災している中で対応に追われ、運営が非効率になったり、避難者の不信感につながったりしたことも記録に残っています。

その経験から、熊本市では「職員だけでは限界がある」という認識のもと、市民や地域と協力しながら避難所を運営していくこと、共助・自助の力を高めていくことの重要性が再認識されました。

ーー災害対応を、職員だけで担うことの難しさが明らかになったのですね。

西川様 そうですね。市民や地域の協力、共助・自助の大切さが再認識されました。

二つ目は、避難所の混乱です。熊本地震では、前震・本震の2回の大きな揺れがあり、避難者が一斉に避難所に押し寄せました。当時、指定避難所は171か所ありましたが、その一部は被災して使用できない状態でした。

そのような中で、本震翌日には11万人が避難し、避難所によっては1,000人を超える避難者が集まったところもありました。

ーー指定避難所だけでは、受け止めきれない状況だったのですね。

西川様 はい。指定避難所だけでは足りず、避難所として指定されていない区役所などにも避難者が殺到しました。その対応で、現場が非常に混乱したということがありました。

三つ目は、避難者の状況把握が困難だったことです。余震が頻発していたこともあり、市が指定していない避難所や、車中泊での避難を選択される方が多くいました。地震後の調査では、避難者の約4割が車中泊避難をしていたことが分かっています。

ーー避難所以外にいる方々の状況を把握することが難しかったと。

西川様 指定避難所であれば職員が配置されているので、ある程度状況を把握できます。一方で、スーパーマーケットやコンビニの駐車場、自宅の軒先などで車中泊避難をされている方々については、把握がとても困難でした。

こうした課題を、DXによって何とか解決したいという思いがありました。

避難所受付と避難者把握をどう変えるか。熊本市が防災DXに期待したこと

ーーそうした熊本地震での課題を受けて、ポケットサインにお問い合わせいただいたきっかけについて教えてください。

西川様 お問い合わせしたのは令和4年(2022年)、私が入庁した最初の年でした。当時、熊本地震の課題の一つとして、避難所受付や避難状況の把握がうまくいかなかったことがあり、そこをDXを活用して解決しようという動きがありました。

その中で、ポケットサインさんが宮城県と実証をされ、避難所受付に関する取り組みが記事などで紹介されていました。当時の河野デジタル大臣がその実証についてツイートされていたのを、本市で見て、「聞いてみようか」となったのが最初です。そこから、問い合わせフォームで連絡させていただきました。

ーー当時、アプリやデジタル化に期待されていたことは何でしたか。

西川様 大きくは二つありました。まずは、避難所の受付がスムーズになることです。従来の紙の受付名簿に世帯主の方が氏名や住所を書いてから入所していただく運用では、どうしても受付に時間がかかります。災害時に多くの方が一斉に避難してくる中で、受付の負担をどう減らすかは大きなテーマでした。

もう一つは、指定避難所以外にいる方の状況を把握できるようにすることです。避難所に来ている方だけでなく、車中泊避難や在宅避難をされている方の所在や状況も把握し、必要な支援につなげられないかと考えました。

ーー受付を速くするだけでなく、避難所以外にいる方を支援につなげることも目的だったのですね。

西川様 そうですね。避難者への支援につなげるというところが大きいと思っています。どこに、どれくらいの方が避難しているのかが分かることで、物資の配布や呼びかけにも活かせるのではないかと考えていました。

ーー導入検討にあたって、ポケットサインに期待していた点はありますか。

西川様 一つは、御社がマイナンバーカードのプラットフォーム事業者*であるという点です。市としてもマイナンバーカードの活用を進めていこうという動きがありましたので、その点は大きかったと思います。

避難所受付や避難者把握をデジタル化する上で、本人確認や正確な情報の取得は重要になります。マイナンバーカードを活用しながら、災害時の受付や状況把握をどう効率化できるか。そこに期待していました。

*プラットフォーム事業者:マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure)を他者に提供するには、公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けて「プラットフォーム事業者」になる必要があります。当社は2023年3月に民間事業者としては16 社目となるプラットフォーム事業者認定を取得しています。

ーー熊本地震で見えた課題を、デジタルの仕組みでどう改善できるかを検討されていたのですね。

西川様 はい。避難所の受付をスムーズにすること、指定避難所以外の避難者の状況を把握すること。そこをDXで解決したいというのが、導入検討の大きな出発点でした。

防災に特化すると広がらない。平時利用を前提にした「くまもとアプリ」の設計

ーー避難所受付や避難者把握といった災害時の課題がある中で、「くまもとアプリ」は平時からも使えるアプリとして設計されています。そうした考え方に至った背景を教えてください。

西川様 熊本市に限らず、今後多くの自治体で人口減少が見込まれる中で、自治体職員だけで災害対応を行うことはどんどん難しくなっていくと考えています。また、熊本地震の時に重要だった地域住民同士のつながりや結束も、年々薄れてきているという課題がありました。

ーー地域住民同士のつながりが薄れているという課題は、どのように把握されていたのでしょうか。

西川様 市民アンケートや、地震後の住民意識の調査などを行っていて、当時の記憶や意識が徐々に薄れていっていることが、数値としても分かってきていました。そうした背景から、平時から共助・自助の考え方を醸成したいと考えていました。

ーー災害時だけでなく、平時から共助・自助の土台をつくることが必要だったのですね。

西川様 はい。職員だけでは、避難所運営やさまざまな支援を行き届かせることは難しいです。市民の方、地域の方に協力いただくためにも、共助・自助の土台になるようなツールを期待していました。

ーー防災に特化したサービスではなく、平時から使えるアプリにすることにも意味があったのでしょうか。

西川様 防災に特化したシステムやサービスはたくさんあると思います。ただ、防災に特化していると、ユーザー数という面ではどうしても広がりにくいところがあります。災害時に使ってもらうためには、平時から活用されることが重要だと考えていました。

ーー平時からの利用を前提にすることで、災害時にも使える状態を目指したのですね。

西川様 そうですね。災害時だけに使うものだと、どうしても普段から触れる機会が少なくなってしまいます。平時と災害時の両面で使えるスマホアプリとして整えることで、市民の方にとって身近なものにしていくことを目指しました。

ーー庁内では、実際にどのような経緯で防災機能と平時利用機能を一緒に検討することになったのでしょうか。

西川様 最初は、防災単独でサービスの導入を検討していました。その流れでポケットサイン防災のお問い合わせをしていたのですが、別途、当時の地域活動推進課(現・地域政策課)の方で市民ポイントの導入を検討していることが分かりました。

そこで情報共有を行う中で、これは一緒にやった方がいいよね、平時と災害時の機能が一緒にないと今後広がらないよね、という話になり、一緒にアプリの開発・検討を進めることになりました。

ーー防災と地域活動、それぞれの検討が合流していったのですね。

西川様 はい。防災機能を検討する中で、マイナンバーカードの活用が一つのキーワードとしてありました。マイナンバーカードの活用は、地域部局が持っている業務とも関係が深いものです。そのあたりの情報共有の中で、やり取りが生まれていきました。

ーー平時利用の機能があることで、防災機能も孤立せず、市民との接点を持ちやすくなるという考え方だったのでしょうか。

西川様 そうですね。防災だけで広げようとすると限界があります。平時から使っていただける機能と組み合わせることで、市民の方にアプリを知ってもらい、災害時にも活用できる状態につなげていきたいと考えていました。

代表者受付、リアルタイム集計、車中泊避難者の把握。熊本市の現場知見から育った防災機能

ーー熊本市は、ポケットサイン防災の初期段階から導入・検討に関わっていただいた自治体の一つです。実際に防災機能を形にしていく中で、熊本市の避難所運営の現場から、どのような考え方が反映されていったのでしょうか。

西川様 特に大きかったのは、避難所受付の考え方です。当初のポケットサイン防災は、アプリを持っている人が自分の分を受付する、一人一名簿のような考え方だったと思います。

一方で、熊本市の場合は、災害時に避難所へ来た人をどう受け入れるかという運用になります。全員一人ひとりの情報を受付で取ろうとすると、非常に時間がかかります。そこで、受付では代表者の情報だけを取得し、同行者については人数だけを取得する形にしました。

ーー全員分の情報を受付時に入力するのではなく、まずは代表者の情報で受け入れる形にしたのですね。

西川様 はい。熊本市では、紙の運用の時も、まず受付では代表者の情報を取得し、入所後に必要に応じて世帯構成などの詳細情報を別途取得するという二段階の運用をしていました。その一段階目を、アプリやマイナンバーカードで実現しようという考え方です。

子どもやカードを持っていない方も含め、全員分を受付で取得しようとすると時間がかかります。災害時には、まず避難所に来た方をスムーズに受け入れることが初動対応として重要ですので、代表者だけで受付する運用にしています。

ーー避難所受付をデジタル化する上でも、現場の運用をそのまま置き換えるのではなく、災害時に本当に回る形にしていく必要があったのですね。

西川様 そうですね。これまでの避難所運営に照らし合わせながら、どこまでをシステム化するのか、紙の運用からどう変わるのかを確認しながら検討していきました。実際に使う避難所担当職員の意見も参考にしながら進めました。

ーー受付以外にも、避難所運営の実務を踏まえて重視された機能はありますか。

西川様 導入時に力を入れたところとして、既存の防災情報システム『EYE-BOUSAI』*との連携があります。熊本市は、EYE-BOUSAIで防災対応状況を統合的に管理しており、そこと避難者情報を連携する機能をアプリに実装しました。

従来は、紙で受け付けた情報を、現地の避難所職員が定期的に集計して報告していました。今は、受付を行うと自動的に集計され、本部に情報が上がってきます。その情報がリアルタイムで住民向けのポータルサイト「熊本市防災情報ポータル」にも反映され、避難所の避難者数や混雑状況などを確認できるようになっています。

*EYE-BOUSAI:株式会社NTTデータ関西が提供する、自治体向けの総合防災情報システム。このシステム上の集計データが「熊本市防災情報ポータル」に反映される。

ーー避難所で受付した情報が、自動で本部や住民向けポータルに反映されるようになったのですね。

西川様 はい。これまでは現地で集計して報告する必要がありましたが、受付データが自動で集計されることで、状況把握のスピードを上げられるようになったと思います。

ーー避難所に来た方だけでなく、車中泊避難や在宅避難をされている方の状況は、どのように把握できる設計になっているのでしょうか。

西川様 アプリの中では、車中泊避難なのか、在宅避難なのかを、位置情報とともに把握できる機能があります。その情報を防災情報システムに集約し、どれくらいの人数が、どの場所に、どのようなステータスで避難しているのかを、対策本部の職員が地図上で確認できるようになっています。

ーー避難所の中だけでなく、避難所以外にいる人まで含めて「どこに、どのような状態の人がいるのか」を把握することが、支援の起点になるのですね。

西川様 そうですね。避難者への支援につなげられるというところが大きいと思っています。

例えば、避難所にいる人数だけを見て物資を配ってしまうと、その周辺で在宅避難や車中泊避難をしている方々の分が足りなくなる可能性があります。避難所以外にいる方々の集中状況が分かれば、そこに物資を多めに届けるといった判断につながります。

また、車中泊避難ではエコノミークラス症候群のようなリスクもありますので、予防や呼びかけにも活用できるのではないかと考えています。

ーー受付を速くするだけでなく、その後の状況把握や支援計画にもつながる仕組みとして設計されていったのですね。

西川様 はい。アプリのプッシュ通知機能やアンケート機能と組み合わせることで、避難者への情報提供や避難者のニーズ把握にも活用できますし、その後の支援計画の策定にも活かせるように設計していました。

受付スピードは約15倍に。それでも「住民向けには普及、職員向けには習熟」が課題

ーー本格的な運用の前には、実証実験も実施されています。そこで得られた手応えや気づきについて教えてください。

西川様 実証実験では、地域の方に集まっていただき、アプリの説明、ダウンロード、アカウント登録を行った上で、従来の紙での受付、マイナンバーカードを使った受付、アプリでの受付をそれぞれ試していただきました。

最初の準備、つまりインストールやアカウント登録については、高齢者などスマートフォンに不慣れな方もいらっしゃったため、少し時間と手間がかかりました。一方で、そこをクリアできれば、受付自体は従来の紙受付に比べて約15倍のスピードでできるという結果になりました。

ーー事前準備ができていれば、災害時の受付は大きく効率化できると確認できたのですね。

西川様 そうですね。事前に準備しておくことで、災害時にはスムーズに受け付けられるという効果が確認できました。実際に操作していただいた方からも、「簡単だよね」という反応はいただいています。

※編集部追記:ポケットサイン株式会社が2024年3月に公開したプレスリリースでも、2024年2月25日に実施した実証実験について、「くまもとアプリ」の防災機能を用いることで、避難所受付の1人あたりの所要時間が従来の約1/15に短縮されたと発表しています。1分あたりの受付人数で比較すると、紙が0.86人、マイナンバーカードが2.5人、「くまもとアプリ」が13人という結果で、紙と比べて受付スピード・受付人数が約15倍に向上したことが確認されました。
https://pocketsign.co.jp/news/43

ーー一方で、運用開始後にはどのような課題が見えてきましたか。

西川様 一番は、やはりアプリの認知度がなかなか上がらないことです。そもそも「これは何だっけ」というところから始まるので、住民の方に説明したり、広報したりしながら、少しずつダウンロード数を増やしている状況です。今でも周知は大きな課題です。

ーーリリース当初の住民の方の反応として、印象に残っているものはありますか。

西川様 マイナンバーカードを使うことに対する抵抗感はありました。「情報が吸い出されるのではないか」「流出するのではないか」といった懸念の声をいただくこともありましたので、そこは丁寧に説明して理解いただく必要がありました。

また、リリース当初は機能がまだ十分に充実していなかったこともあり、「本当に必要なのか」「なくてもいいのではないか」といった声もありました。

ーー実際の災害時にも活用された場面があったのでしょうか。

西川様 実災害で避難者数が最も多かったのは、令和6年(2024年)8月の台風第10号の時です。この時は避難者が約2,300人、世帯数としては約1,370世帯ありましたが、アプリがまだ十分に普及していなかったこともあり、アプリを利用した受付は少数にとどまりました。

ーーアプリ利用はまだ少数だった一方で、運用面での変化は感じられましたか。

西川様 アプリ利用自体は少なかったのですが、少なくとも紙だけだった頃に比べると、集計は早くなったのではないかと思っています。

ーー実災害で使うことで、見えてきた課題もあったのでしょうか。

西川様 住民向けには周知・普及が課題ですが、職員向けには習熟が課題です。初年度は特に力を入れて研修を行いましたが、年度が替わると避難所担当職員も異動で入れ替わります。そうすると、また習熟し直さなければならない。そこが追いつかず、受け入れ体制がうまく機能しなかった場面もありました。

ーー年度ごとに担当職員が代わる中で、職員側の習熟度をどう維持していくかも重要なのですね。

西川様 そうですね。災害時に使える状態をつくるには、市民にアプリを知ってもらうことと、職員が受け入れられる体制を維持することの両方が必要だと思っています。

ーー課題が見えている中で、今後はどのように活用を広げていきたいとお考えですか。

西川様 今後は、今ある防災機能をより使いやすくしていくことが重要だと考えています。市民の方に日常的に使ってもらえるアプリにしていくことで、災害時にも活用できる状態につなげていきたいです。

ーー最後に、ポケットサインに期待していることがあれば教えてください。

西川様 今、いろいろな自治体さんが導入していると思いますので、それぞれの自治体で出た意見や改善が、アプリ全体の進化につながっていくことを期待しています。自分たちだけでは出てこなかった機能や改善が入ってくることにも期待しています。

いろいろ相談させていただく時に、親身に相談に乗っていただいたり、技術的な改善案を出していただいたりしてきました。そうしたところは、今後も期待しているポイントです。

ーー防災DXや自治体DXに取り組む他自治体の方に向けて、参考になるメッセージがあればお願いします。

西川様 庁内の意見は、どうしても凝り固まってしまうところがあると思います。だからこそ、外部の意見や若い世代の意見も含めて、いろいろな意見を聞き、柔軟に取り入れていくことが大事なのではないかと思います。

まとめ:災害時に使われるために、平時から使われる仕組みを育てる

熊本地震で熊本市が直面したのは、避難所受付の混乱や指定避難所以外の避難者把握の難しさだけではありませんでした。職員自身も被災する中で、行政職員だけに依存した避難所運営には限界があること、そして地域住民同士の協力や共助・自助の土台が不可欠であることも、改めて浮き彫りになりました。

熊本市が進めてきた「くまもとアプリ」の取り組みは、そうした教訓をデジタルの仕組みに落とし込もうとする挑戦です。避難所受付をスムーズにするだけでなく、車中泊避難や在宅避難の状況を把握し、必要な支援につなげる。さらに、防災に特化しすぎず、平時の市民接点と組み合わせることで、災害時にも自然に活用できる状態を目指しています。

実証実験では、アプリ受付が紙受付に比べて約15倍のスピードで完了する効果が確認されました。一方で、実災害での利用はまだ限定的であり、市民への普及や職員側の習熟は、今後も大きな課題として残っています。

それでも、課題を率直に見つめながら改善を重ねていく姿勢こそ、実際に使われる防災DXには欠かせません。熊本市の取り組みは、災害時のための仕組みを、平時の暮らしや地域活動の中にどう根づかせていくかを考える上で、他自治体にとっても重要な示唆を持つ事例だと言えるでしょう。

ポケットサイン防災について

ポケットサイン防災は、マイナンバーカード認証と連携するアプリ基盤「ポケットサイン」上で提供される、自治体向けの防災DXサービスです。避難所受付、避難者情報の把握、アンケートやプッシュ通知による情報収集・伝達などを通じて、災害時の避難所運営や被災者支援を支援します。

  • 特長1:マイナンバーカード等を活用したスムーズな避難所受付
    避難者は、アプリやマイナンバーカードを活用して避難所受付を行うことができます。紙の名簿に氏名や住所を手書きする負担を減らし、受付の混雑緩和や職員の集計作業の効率化につなげます。

  • 特長2:避難者情報をリアルタイムに集約
    受付情報を管理画面上で確認できるため、避難所ごとの避難者数や混雑状況の把握に活用できます。自治体の既存システムと連携することで、災害対策本部での状況把握や情報共有をよりスムーズに行うことも可能です。

  • 特長3:車中泊・在宅避難など、避難所以外の状況把握にも対応
    避難所に来ていない避難者についても、アプリを通じて状況を把握することで、物資配布や健康リスクへの注意喚起など、必要な支援につなげやすくなります。

  • 特長4:現場運用を踏まえた、実務に即した設計
    代表者受付、同行者人数の取得、既存防災情報システムとの連携など、避難所運営の実務を踏まえた機能を備えています。災害時の現場運用に寄り添いながら、受付・集計・共有の一連の流れを効率化します。

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お問い合わせはこちらから: https://pocketsign.co.jp/contact

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