Case study

導入事例

2026-03-24

ウォーキングアプリを普段使いに|「健康みやぎ」の実現に向けた宮城県の挑戦 

メタボ割合16年連続ワースト4位の汚名返上の切り札

特定健診*の制度が始まった平成20年度以来、メタボリックシンドローム該当者および予備群の割合が16年連続で全国ワースト4位以内という課題を抱える宮城県。その背景にある県民の「歩数不足」解消に向け、「みやぎ県民公式アプリ」に「健康ウォーク」を導入することに。リリースから2年足らずで利用者数は7万人を超え、アプリ登録キャンペーン期間中には1日8000歩以上歩く人の割合が3割から4割へ上昇するなど、行動変容につながっています。

本記事では、健康ウォークの運用を担当する宮城県健康推進課の平原様に、導入の経緯から今後の展望まで詳しく伺いました。

*特定健診:40〜74歳の被用者保険(健康保険組合や全国健康保険協会など)や国民健康保険の加入者を対象として実施されている、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診です

(写真:健康推進課 平原様)
(取材・構成:ポケットサイン株式会社)

ポケットサインに「歩く習慣」のきっかけづくりを期待

ーーまずは自己紹介をお願いします。

平原様 健康推進課の平原と申します。健康推進課に着任したのが令和5年度でしたので、「ポケットサイン健康ウォーク」の構想段階から関わらせていただいています。

みやぎ健康ウォークは令和6年5月から運用開始。令和6年度からスタートした「第3次みやぎ21健康プラン」の身体活動・運動分野における取組の一つとして、アプリの普及やアプリを活用したイベントを実施しています。

ーー「ポケットサイン健康ウォーク」を導入するに至った背景について教えてください。

平原様 実は、宮城県はメタボリックシンドロームの該当者と予備群の割合が高いことが課題です。特定健診が開始された平成20年度以来、15年連続でワースト3位、直近の令和5年度の割合もワースト4位でした。

また、その背景にある生活習慣として、県民の歩数が少ないというのも課題です。厚生労働省が公表している都道府県ごとの歩数の状況では、平成28年調査で宮城県は全国ワースト7位でした。その前の平成24年調査ではワースト1位でしたので、以前から歩数の少なさは課題となっていました。

日常生活における歩数の増加は、生活習慣病の予防や生活機能の低下防止のためにとても大切です。先ほど申し上げた第3次みやぎ21健康プランの中で、年代別に1日あたりの歩数の目標を設定しており、20〜64歳は8000歩以上、65歳以上は6000歩以上としています。新たな健康プランのスタートとともにポケットサインの健康ウォークを導入できたことは、良いタイミングだったと思っています。

ーー導入前の段階では「ポケットサイン」アプリにどのような期待をお持ちでしたか。

平原様 健康への関心を持っていない方や、幅広い年代の方々が歩くことを意識するきっかけといいますか、歩く習慣の意識づけになるようなことができるといいなと考えていました。ただの歩数計アプリだと健康への関心度によって使う人・使わない人が分かれてしまいます。その点、「ポケットサイン」は「みやぎ県民公式アプリ」という大前提があるので、ふだん健康を意識していない方にもアプローチする仕掛けになると期待していました。

ーー実際に導入するに当たって重視したポイントは何でしょうか。

平原様 歩数の「見える化」は重視したポイントの1つです。自身の日々の歩数と月毎の歩数を可視化し、「今日は少ないかも」「もう少し歩こう」といった歩数を増やすきっかけにつなげてもらいたいと考えました。

もう1つのポイントはランキングの表示です。マイナンバーカードの基本4情報をアプリに連携できるという特長を活かし、全ユーザーランキングに加え、市区町村内でのランキングや同年代でのランキングが見られるようにしました。自分を中心に上下100位のユーザーの歩数を見ることができ、歩数増加のモチベーションにつながることを期待しています。

実際に、ランキングを気にして見ていただく方が多いと感じていますし、シンプルな機能は幅広い年代に好評いただいていると感じています。

ーー運用してみて、実際の利用状況はいかがですか。

平原様 アプリに登録して実際に利用されている方の数は令和7年12月中旬に5万人を突破し、令和8年2月16日現在で約7.2万人です。令和6年度に実施したアンケートでは、利用目的は「健康管理」「運動」「ダイエット」といった回答が最も多かったです。「歩数が増えた」「歩く習慣、運動習慣のきっかけになった」という声も多く寄せられています。

ーーキャンペーンを実施して利用者を増やしてこられたと思います。

平原様 最初のリリース時(令和6年5月)は新規の利用促進を目的に、7月までの3カ月間でデジタル商品券がもらえるキャンペーンを実施しました。また、以前から県で例年10〜11月に開催している「歩数アップチャレンジ」とも連動して実施しました。今年度(令和7年度)からは地域ポイント「みやポ」をインセンティブとして贈呈しています。

やはりインセンティブがあると利用者も増えますし、モチベーションの維持や向上にもつながっていると感じます。

みやポは全庁的に推進しており、みやポの宣伝効果もあって健康ウォークのユーザーも増えたと思います。

ーー職員の皆さんで運用に工夫したり、逆に負担があったりした部分はありますか。

平原様 昨年度(令和6年度)は実証期間ということもあり、ポイント付与が上手くいかないトラブルや、利用者が増えたことで動作が遅くなってしまったことがあり、データ連携の仕組みを変えることでサクサク動くように改修していただきました。その都度、情報を共有しながら対応いただく感じで、お互い手探りの実証だったと思います。

本格運用後も、データの抽出や分析作業の負担軽減のため、県側で使うコンソールのUIを変えていただきました。また、歩数データ連携などのトラブルもありましたが、情報を共有して改善を図ってきた感じです。

ーーそうした中でも見えてきた想定外の気付きや傾向のようなものは何かありますか。

平原様 比較的ご年配の方の利用者が多いです。「いま家電量販店にいるんだけど(登録の操作が)大変で」と電話があり、店員さんと一緒に動画を見ながら登録をしてくださった方や、わざわざ県庁までお越しになって「どうやって登録するの?」と尋ねる方もあり、ご年配の方にも比較的受けているのはすごく良かったなと思います。ランキングの表示などがシンプルで分かりやすいのも、受けている要因かなと感じます。

ーー先ほどお話に出てきたキャンペーンですが、具体的にどういうアピール、広報をされたのでしょうか。

平原様 もともと、健康づくりの県民運動として「スマートみやぎ健民会議*」という産学官連携による取組を推進していたため、チラシを作って「スマートみやぎ健民会議」の会員である企業・団体などに周知活動をしました。また、みやぎヘルスサテライトステーション(ショッピングセンター、ドラッグストアや薬局など健康づくり認証施設)や市町村にも協力いただいたほか、地元テレビ局の番組で紹介していただきました。

*スマートみやぎ健民会議:メタボリックシンドローム該当者および予備群を合わせた割合が全国ワーストという状態が長く続いたことを受け、企業、団体、大学、行政機関などが協働して県民の健康と幸せの実現に向けた県民運動を推進するために設立された組織

ーーアプリの導入後、どのような成果がありましたか。

平原様 令和7年春に実施した歩数アップキャンペーンの前後で歩数のデータを分析したところ、キャンペーン実施前は、8000歩以上のユーザーは3割ぐらいであったのに対し、キャンペーンを実施期間中は4割に増えました。また、目標歩数に至らない方でも、実施前より歩数が増えたことがデータから分かりました。

ほかにも、令和6年度に実施されたみやぎ県民公式アプリでのアンケートでは、「日頃からよく使うミニアプリ」の1位が健康ウォークでした。「ポケットサイン」が日常から使われるアプリとなることに貢献できていると思います。

ーーありがとうございます。今後、改善していきたいと考えている部分はありますか。

平原様 ランキングの上位者の歩数に関して、1日10万歩以上というようにあまり現実的でない歩数に対し、「不正ではないか」といったお問い合わせをいただくことがあります。

歩数そのものに関しては、ヘルスケア(iPhone)やヘルスコネクト(Android端末)と連携して取得しているので、ポケットサインアプリ側でコントロールできません。とはいえ、ユーザーのモチベーションや満足度を下げないという意味では何かしら対応を検討しなければならないと考えています。原因を突き詰めるのは難しいかもしれませんが、皆さんが納得するルールを作らないといけないのかなと。

観光情報などとの組み合わせで発展の可能性

ーー今後の展望として、追加したい機能や期待しているアップデートはありますか。

平原様 アンケートでは、バーチャルマップや写真投稿などの機能の要望も寄せられています。継続してアプリを使っていただけるよう、機能の充実は必要かなと思います。例えば、健康ウォークから県内の観光資源の情報や各市町村のウォーキングコースといった情報にアクセスできるようになると良いです。楽しみながら歩いていただくために、地域活性化や観光、歴史・文化など多分野との連携ができたら素敵ですね。また、市町村の保健事業にも活用できるよう機能を充実できるともっと良いと思います。

将来的には、マイナポータルと連携して、健診結果をはじめとした健康管理のツールとして健康ウォークを使ってもらえるような発展も期待しています。

ーー最後に、弊社に対して評価している点や今後期待する点を教えていただけますか。

平原様 これまでも、トラブルが起きてもその都度、情報を共有しながら対応していただいています。この「ポケットサイン」を使う自治体が都道府県レベルでどんどん増えていくことで、健康ウォークを使ったイベントのアイディアが増えたり、それらが蓄積されて共有できたりということを期待しています。是非いろいろな自治体に広がって、より良いアプリを目指していけるといいなと思います。

ーー本日は誠にありがとうございました。

まとめ:「普段使い」アプリで楽しさ追求

市町村別や年代別のランキング機能による競争心の刺激、地域ポイント(みやポ)を活用したインセンティブ設計などが奏功し、これまで関心が薄かった層や高齢者層まで幅広い県民を巻き込んでいます。また、キャンペーン期間中の歩数増加というデータも得られています。

宮城県の事例は、デジタル技術を活用していかに住民の健康意識を変え、行動変容を促すかという行政DXの先進的なモデルケースと言えるでしょう。

ポケットサイン健康ウォークについて

マイナンバーカード認証と連携するアプリ基盤「ポケットサイン」内で提供される自治体向けのミニアプリです。住民に日常的なウォーキング(歩行)を促すことで、楽しく健康増進を図ることができます。

こんな課題をお持ちではありませんか?

  • 住民の健康のために運動を推奨したい

  • 歩数計アプリのように日々利用される機能を通じて自治体が提供する公式アプリの利用を促進したい

  • ウォーキングの成果に応じたインセンティブとして独自ポイント(地域ポイント等)を付与したい

これらに対し、「ポケットサイン健康ウォーク」は以下のような特長で課題を解決します。

  • 特長1:日々の歩数を簡単計測。移動距離や消費カロリーも分かる
    毎日の歩数を自動で記録し健康管理をサポートします。日別の歩数グラフを確認したり、体重変化を記録したりすることも可能です。

  • 特長2:年代別や市町村別のランキングで自分の順位が分かる
    地域のユーザーと歩数をランキングで競い合えるので、楽しみながらウォーキングを続けられます。歩くモチベーションを上げる仕掛けが満載です。

  • 特長3:連携店舗で利用できる地域ポイントを獲得
    歩数に応じてポイントが貯まります。貯めたポイントは商品と交換したり連携店舗での買い物に利用できたりと、自治体から住民へ特典を提供することができます。
    ※ポイントの利用には「地域ポイントミニアプリ」または「地域通貨」との連携が必要です

・「ポケットサイン健康ウォーク」の概要はこちら

・参考:ポケットサイン株式会社が宮城県と「DX推進のための実証事業に関する連携協定」を締結(2023年4月26日付プレスリリース)

▶︎ポケットサインの活用を検討中の自治体担当者の方へ
「ポケットサインのミニアプリで、一歩先のDXを実現しませんか?」
お問い合わせはこちらから: https://pocketsign.co.jp/contact

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