Interview

メンバーインタビュー

2025-08-05

自治体から民間企業まで“信用のDX”を担う。次世代の社会インフラ実装に挑戦する、ポケットサインのビジョン  

日本の未来を明るくするために、デジタルの力を活用したい──。そんな熱い想いを胸にポケットサインのビジョンを語るのは、代表取締役の梅本 滉嗣さんです。

ポケットサインでは「リアルとデジタルがシームレスに繋がる未来の日常を」というビジョンのもと、マイナンバーカードのICチップを活用したアプリやサービスの企画・開発を自治体・民間企業向けに提供しています。

2025年4月にシリーズBラウンドの5.8億円の調達を実施。事業成長の加速に向け、組織体制の強化を図っています。

そこで今回は、ポケットサインを設立した背景や社会インフラ創りにかける想い、今後の展望について梅本さんに詳しくお聞きました。

プロフィール

代表取締役CEO
梅本 滉嗣さん

日本学術振興会特別研究員DC1(京都大学 基礎物理学研究所)ダルマ・キャピタル株式会社取締役/Head of Researchを経て、2022年8月ポケットサイン株式会社を共同創業。2023年4月代表取締役に就任。理学博士(京都大学)/東京大学法学部卒

衝撃を受けた、本人確認の可能性

── ポケットサインを創業した経緯を教えてください。

もともとは金融系の企業に所属していて、当時は新しいオンライン証券会社の設立を検討していました。

証券業ではユーザーの本人確認が法令上必須となっていることから、どういった仕組みや技術があるのか調べていたところ「公的個人認証サービス」と呼ばれる、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用した本人確認の仕組みがあることを初めて知ったんです。さらに詳しく調べていく中で、この本人確認の仕組みを利用すれば「リアルな個人」と「デジタルのID」を紐づけることができることがわかりました。

一般的に、現実世界で生きる私たちと、オンライン空間でのIDは必ずしも一対一になっているとは限りませんよね。匿名でIDを作ったり、複数のメールアドレスをもとにいくつかのIDを用意できたりすることが普通です。つまり、1人1つのIDしか持てないという特性は、まさにリアルな個人をデジタル上に投影するほどのパワーがある。

例えば、この技術を電子投票に応用すれば、1人1票を担保したまま、デジタル空間上で効率的に選挙を実現する手段にもなり得るんです。「これは間違いなく社会インフラになる」と思ったのですが、その価値に気づいている人がほとんどおらず、そのことに大きな衝撃を受けました。

そんな折に、前職の会社が「ガイアの夜明け」というテレビ番組で取り上げられた際に、たまたまご覧になっていた宮城県の村井知事が声をかけてくださったことも大きな転機となりました。

宮城県では、原子力災害にまつわる避難指示や避難所での受付管理などに課題を感じていました。原子力災害が起こると、住民を遠方の避難先へ案内したり、避難所に到着した際の受付管理をしたりしなければいけません。東日本大震災での教訓も踏まえ、災害時に「誰がどこにいるのか」を効率的に把握する方法を模索されていました。

私たちが発見した技術の可能性と、宮城県における行政の課題が結びつき、ポケットサインの設立に至りました。

—— 証券会社の設立という構想から、社会課題の解決に向けた事業へと舵を切られています。梅本さんご自身の中で「この領域に取り組みたい」という強い想いがあったのでしょうか? 

率直に言えば、「衰退していく日本をなんとかしたい」という想いが根底にありました。  基礎研究や金融業界に長く携わる中で、仕事に対する楽しさは感じていたものの、社会と繋がって貢献をしているという実感はほとんどなかったんです。

私自身、法学部出身で、以前から日本社会に対する関心を持っていました。日本の未来を明るくするために奮闘されている方々がいる中で、私も何かしらの形で貢献したい。そんな中で、マイナンバーカードを利用した本人確認の仕組みに出会い、デジタルの力によって社会制度そのものを変える力があると思いました。  

テクノロジーに強みをもつ我々であれば、何らかの形で貢献できるのではないか。そこで、新たな事業をスタートさせることを決めました。

デジタル空間上の信用を担保し、安全なサービス利用を促す 

—— 続いて、ポケットサインの事業内容について教えてください。  

「リアルとデジタルがシームレスに繋がる未来の日常を」というビジョンのもと、 社会生活のあらゆる場面のデジタル化を支える事業を展開しています。

我々の根幹を担うのは、マイナンバーカードのICチップに搭載されている電子証明書を活用して本人確認を行う「公的個人認証サービス」です。この仕組みを活用し、自治体向けには平時から災害時まで幅広い用途でご利用いただける統合アプリ(通称:スーパーアプリ)「ポケットサイン」を展開しています。

現在、利用可能なアプリ内アプリ(ミニアプリ)サービスは約15種類です。特に、弊社は災害発生時に迅速な避難支援を促す「ポケットサイン 防災」を展開するなど、防災領域に大きな強みがあります。

また民間企業向けには、本人確認機能を直接自社のサービスやアプリに組み込むためのAPIサービスを提供しています。我々のサービスを特に選んでくださるのは、技術力やユーザー体験を重視する企業さまです。弊社CTOの澤田が「エンジニアの開発しやすい環境こそが、社会の進化を加速させる」とよく言っているように、他社の開発者がスムーズに公的個人認証サービスを導入できるよう技術ドキュメントをしっかりと整備しています。 

こうしたAPIの提供からプロダクト開発・普及まで一貫して担っている点は、他社にはない大きな特徴であり、強みだと思っています。

—— これから、どんな課題を解決していかれるのでしょうか?

引き続き、マイナンバーカードのICチップを活用した本人確認認証で、この国のデジタル化を支えたいです。

日本は今後20年で生産年齢人口が約20%減少するといわれています。人手不足が深刻化し、このままでは私たちが当たり前だと思っている社会制度を維持できなくなる可能性が高い。それらを解決する手段の一つになりうるのが、デジタルの活用です。

ただ、最近では闇バイトやロマンス詐欺、運転免許証の偽造による携帯契約詐欺など、デジタル空間における信用の欠如によって引き起こされている問題が増えており、今後もこうしたトラブルは増えると予想しています。

だからこそ、デジタル空間でもリアルな個人と紐づいた「信用のインフラ」が必要です。その仕組みを作ることこそが私たちの最大の目標だと捉えています。

マイナンバーカードのICチップを活用し、社会実装を拡大する

—— それらの課題解決に向けて、今後はどのような成長戦略を描いているのでしょうか?

大きく2つの領域で成長戦略を描いています。

1つ目は、自治体向け領域です。既に複数の自治体でご導入いただいている「ポケットサイン」を全国に広げて、住民と自治体をデジタルなタッチポイントでつなぎ、これまで実現できなかった施策の実施や業務の効率化などを通して変革を起こしたいと考えています。

例えば、行政手続きをスマホ1つで完結できるようにすることで平日の昼間に役所に行く必要がなくなったり、いそがしい子育て世帯が手軽に行政支援を受けられるようにするなど、デジタル化によって人々の体験を大きく変えることができると信じています。

2つ目は民間企業の領域です。こちらは犯罪収益移転防止法の改正により、2027年4月からオンラインでの本人確認手段としてマイナンバーカードなどのICチップの活用が義務化されます。

今春には、Androidに加えてiPhoneにもマイナンバーカードが搭載できるようになり、いちいちカードを取り出す必要がなくなるため、今よりもっと多くのサービスに公的個人認証サービスが行き渡ると見込んでいます。

これまで「マイナンバーカードって本当に活用すべき?」という状態だったものが、「こうやって使えるのか」という気づきに変わるかもしれない。こうした変化が今後2〜3年で一気に広がっていくのではないかと考えています。

—— 現在、取り組まれている新規事業もあるのでしょうか?

はい。いま注力しているのが、人事・労務・採用領域です。例えば、企業と求職者がはじめて出会うときに、資格や職歴といった情報の正確性や信頼性が問われますよね。

また、個人番号や年金番号の提出など、入社手続きの煩雑さにもまだまだ課題があります。こういった点を、マイナンバーカードのICチップを活用して効率化できるような新しいサービスを構想しているところです。 

正解のない領域で、力をあわせて船を漕ぐメンバーを求む!

── これからどんな方に来てほしいですか?

社会を前進させていきたいという気概をもって、自分の頭で考えながら能力を発揮できる方です。

私たちは、いわゆる「コンパウンドスタートアップ」として複数のプロダクトを展開しており、活躍のフィールドは非常に多岐にわたります。我々が日々直面している出来事のほとんどは、初めての課題の連続です。誰も正解がわからない中で、従来のやり方を踏まえたうえで、最善の意思決定をしていくことが求められます。

だからこそ、一つの決まったタスクを淡々とこなすよりも、変化のある環境で、広い視野を持って動いていくことに魅力を感じられる方にとっては、非常にエキサイティングなフェーズだと思います。

さらに、我々の事業の根底には「より良い未来社会をつくりたい」という想いがあります。大変だと感じる瞬間は多いものの、自分の仕事がいつか誰かの生活を良くする。

あるいは、社会に存在する大きな課題を解決するために頑張っています。そういったビジョンに共感してもらえる方に来ていただきたいです。

── 最後に、ポケットサインへの転職を検討されている方へメッセージをお願いします。

私たちは、これからのデジタル社会を支える「デジタル・アイデンティティ・インフラ」を構築することにチャレンジしています。

ポケットサインは、社会に大きなインパクトを与える可能性を持った事業であり、その分、大きな責任も伴います。ひとりでは成し遂げられないからこそ、仲間と一緒に、力を合わせて船を漕いでいく必要があります。

自治体をはじめ、民間企業での活用事例も今後も広げていきたい。一緒に新たな市場を開拓していきたい方にぜひ来ていただきたいです!

取材協力:株式会社ソレナ

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会社概要

ポケットサイン株式会社は、次世代のデジタルプラットフォームをつくる企業です。
「信用の摩擦をゼロにする」をミッションに人々が本来やりたかったことに集中できるような環境を作り、生産性を高め、より良い社会を築くことを目指しています。

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