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面接までも…AIなりすまし対策の決定打は「公的データ」活用! 

2026-10-22

生成AIを使った「AIなりすまし」が、企業の採用の現場にも及んでいます。2026年3月には国内のベンチャー企業で実在するエンジニアの経歴を模倣した履歴書を提出し、AI映像で別人になりすました応募者がオンライン面談に現れるという事態が起きました。また同年9月には別のベンチャー企業経営者が「オンライン面接にAI映像が参加した」とSNSに投稿し、大きな話題となりました。ディープフェイクによる顔や声、経歴の偽装はWeb面接では見抜きにくく、経歴・職歴などの申告内容の真偽を確かめるのにも限界があります。前回は「地面師」を題材に券面偽造の限界を解説しましたが、本記事では、オンライン面接で起きるなりすましの手口と、企業が講じるべき本人確認や職歴・年収確認の対策を、公的データを使った方法を中心に整理します。

・関連記事:「なりすまし」は防げないのか…『地面師たち』で露呈!旧来の本人確認方法の落とし穴(マイナ活用.com、2024年12月2日公開)

目次

顔・声・経歴を偽る…3つの手口

AIなりすましとは、生成AIやディープフェイク技術を使って他人の顔や声、経歴を悪用し、本人であるかのように振る舞う行為の総称です。

かつての「なりすまし」は、偽造した免許証や健康保険証などの本人確認書類を提示するといった物理的な偽装が中心でした。実際の巨額詐欺事件がドラマ化された「地面師」の手口は、この物理的な偽造・変造の典型例です。

しかし生成AIの急速な進化と爆発的な普及により、映像や音声、書類のデジタルデータといったあらゆる要素を、専門知識がなくても低コストで、かつ時間をかけずに作れるようになっています。

そうした現在における企業の採用の場面で問題になる手口は、大きく3つに分けられます。この3つが組み合わさると、見抜くのは一段と難しくなります。

◾️顔の偽装
1つ目は「顔の偽装」です。他人の写真や動画をもとにAIで生成した映像を、リアルタイムでオンライン会議に映す手口です。

◾️声の偽装
2つ目は「声の偽装」で、技術的には数秒から数十秒の音声データがあれば本人に似た声を合成できるとされています。ネット上に講演動画やインタビューが残っている人ほど標的になりやすくなります。

◾️経歴情報の偽装
3つ目は「経歴情報の偽装」です。実在する人物の職歴や学歴、年収を履歴書や職務経歴書に書き写し、AIで体裁を整えて提出するやり方です。

実際に起きた「なりすまし面接」

国内でも既に実例が確認されています。

Business Insider Japanの取材によると、2026年3月、物流向けSaaSを手がける国内ベンチャー企業のエンジニア職のカジュアル面談(オンライン)に、AI映像を使って別人になりすました応募者が現れました。事前に提出された履歴書には、実在するエンジニアの経歴が使われており、面談でも同じ実名、同じ見た目の人物が画面に映っていたそうです。

・参考:国内で発生「AIなりすまし面談」被害の実態。取材で見えた“驚くほどカジュアルな手口”と潜在的リスク(Business Insider Japan、2026年3月19日公開)

記事によれば、発覚のきっかけは、面談担当者が覚えた違和感でした。履歴書に記載された言語レベルと、面談中の実際の日本語能力が一致しなかったほか、映像の解像度が極端に低く、顔の動きや歯の見え方が不自然だったのです。

担当者が面談後、なりすまされた本人に問い合わせ、「応募も面談もしていない」との回答を得て、なりすましが判明しました。この本人は、Business Insider Japanの取材に「このような犯罪が技術的に可能であり、いつかは国内でも発生するであろうと想定していた」と語っています。

また、2026年9月には、別のAIテックベンチャーの経営者がX(旧Twitter)に、自身が面接官を務めたオンライン面接にAI映像が参加してきた様子の映像を公開し、大きな話題となりました。

・当該ポストはこちら:https://x.com/1230yuji/status/2097905262254555461

当社CEO梅本滉嗣もPIVOTの番組で「顔や声がネット上に残っている人ほど“クローン”を作られやすく、リアルタイムで同じ声で話されると多くの人がだまされてしまう」と指摘しています(下図)。

  (↑画像をクリックすると番組を視聴できます)

また、採用面接ではありませんが、海外では、被害が桁違いの規模に達した例があります。2024年、香港の多国籍企業の拠点で、財務担当者がCFOらを名乗る人物とのオンライン会議に参加し、約2億香港ドル(約40億円)を送金してしまったと報じられました。

会議に出席していた他の参加者も含め、顔と声がAIで作られた偽物だったとされています(なお、香港警察は被害企業名を公表していませんが、CNNの続報によると英Arup社の拠点とのことです)。

・参考:Finance worker pays out $25 million after video call with deepfake ‘chief financial officer’(2024年2月4日、CNN)

日本では、2025年1年間で特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺、インターネットバンキングの不正送金による被害総額は計3361億円となり、2024年(2077億円)を約62%上回りました。AIを悪用した「なりすまし」は看過できない段階に来ています。

・参照先:警察庁|令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)および令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について

Web面接だけでは本人性も申告内容も確認しづらい

新型コロナウイルス禍を契機にオンライン面接が広く普及したことで、応募者は遠方からでも気軽に選考を受けられるようになりました。一方で、企業は応募者の「本人性」と「申告内容の真偽」を、画面越しの情報だけで判断せざるを得なくなっています。

まず本人性の面では、画面に映る顔と声が本人のものだと確かめる手段がありません。対面の面接であれば、身分証を目視し、会って話す中で自然に確認できた部分も、Web面接では映像と音声といういわば「加工できる情報」に頼ることになります。

なおかつ、本人確認書類の券面は偽造・変造が容易な時代になってしまいました。この前提に立つと、券面の写真と画面の顔を見比べたとしても、どちらもAIで作れてしまうのであれば「本人確認」は意味を為さないでしょう。

また、身も蓋もない言い方をすれば、履歴書や職務経歴書は応募者の自己申告にすぎません。職歴・経歴、前職などの在籍期間、役職、年収といった情報は、面接での受け答えが滑らかであれば信じるほかありません。

AIが履歴書・職務経歴書の文章だけでなく、想定問答まで整えてしまう時代には、面接で「話の筋が通っている」ことだけをもって内容が事実であることの根拠にならないと言わざるを得ません。

企業ができる対策とその限界

では企業は何をすればよいのでしょうか。まず、運用面で取ることができる対策があります。

例えば、面接中に手を顔の前にかざしてもらったり、横を向いてもらったりといった動作を依頼する方法が、ディープフェイク対策として紹介されています。ネット上に正面からの顔画像が存在する人でも横顔の画像は少ないため、正確に横顔を生成できるほどにはAIの学習が進まないことを逆手に取るわけです。

また、日本語力や職務経験に関して、履歴書の記載と受け答えに食い違いがないかを、具体的な質問で確かめることも有効でしょう。Business Insider Japanが報じた事例でも、違和感の端緒はこのような食い違いでした。

ただし、これらには限界があります。映像の乱れや不自然さといった違和感は、生成AIの精度の向上とイタチごっこであり、いずれは対策たり得なくなる可能性が高いです。さらに、履歴書の内容が実在人物の経歴・職歴と一致していれば、前職への在籍確認やリファレンスチェックも、なりすまされた「本人」の名前で進んでしまう恐れもあります。

そこで重要になるのが、「改ざんが極めて難しい情報」で確かめるという発想ではないでしょうか。

公的データで本人性と職歴・年収を確かめる

そうした「改ざんが極めて難しい情報」で確認する手法の1つが、デジタル庁が運営するマイナポータルAPIの活用です。マイナポータルは、政府が運営する国民一人ひとり専用のオンライン窓口であり、マイナポータルAPIとは、いわば行政システムと民間のサービスをつなぐための「接続口」です。

・マイナポータル:https://myna.go.jp/

企業の採用現場では、このマイナポータルAPIを、候補者本人の同意の下で経歴・職歴確認に活用することで、経歴・職歴に関する公的データを取得することができます。そうすると、履歴書に書かれた職歴や年収といった申告内容を、応募者本人の同意の下で公的データと照合して確認できるようになるわけです。

これがAI時代のなりすまし対策の決定打です。マイナポータルAPIを活用した経歴・職歴確認の仕組みの詳細は、下記の別記事で解説しています。

・参考:バックグラウンドチェック最前線|経歴・職歴調査の最適解は(マイナ活用.com、2026年7月31日公開)

ジョブトラストならワンストップで完結

当社が提供する「ジョブトラスト」は、マイナポータルAPIを活用した採用時の本人確認・経歴確認サービスです。公的データによる確認に同意した候補者が自身のスマートフォンで公的データを取得して証明する仕組みです。

具体的には、税・所得、住民税の課税情報や雇用保険の加入履歴*から年収、経歴・職歴が分かります(下図)。


  ※マイナンバー(個人情報)は取得しません。

* 雇用保険の加入履歴は現在加入中(在職中)または離職から5年以内であることが条件となります。

ジョブトラストの使い方は簡単で、採用担当者が候補者に認証リンクを送り、候補者がスマホで本人認証を行うと、採用担当者は管理画面で在籍期間や職歴などの確認結果を見ることができます(下図)。

候補者の所要時間は1〜2分程度で、選考フローに無理なく組み込めるのではないでしょうか。

また、ジョブトラストは公的データを活用した「本人確認」も実施できますが、こちらはマイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)*を利用しています。

*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure):マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことを公的に認証する仕組みのこと。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長

当社ポケットサインは、マイナンバーカードの公的個人認証サービスにおける「プラットフォーム事業者」として主務大臣の認定を受けた国内の認定事業者の1つです(当社は2023年3月に民間事業者としては16社目となる認定を受けました)。ISO/IEC 27001などの国際規格も取得し、本人同意のもとで、マイナンバー(個人番号)そのものは取得しない設計で運用しています。

なお、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書は、市区町村の窓口での厳格な対面確認を経て発行されるもので、券面の偽造・変造とは次元が何段階も異なる堅牢さを持ちます。セキュリティの強さの詳細は下記記事で詳説しています。

・参考:マイナンバーカードのICチップ徹底解説! 本人確認が劇的に変わる!(マイナ活用.com、2024年8月23日公開)

マイナンバーカード活用ならポケットサイン

以上みてきたとおり、マイナンバーカードは私たちの生活を便利にし、行政サービスや企業サービスがオンラインで円滑に普及するうえで大きなカギを握っています。民間事業者が自社アプリやWebサービスをマイナンバーカードに対応(JPKIなど)させることは急務と言えます。

本記事で取り上げた経歴調査・職歴調査についても、調査内容の正確さと企業・候補者双方のUI/UX改善にはマイナンバーカードの活用が必要不可欠です。

ただ、自社でマイナンバーカードの活用に対応したネイティブアプリを開発する場合、ICチップ読み取り機能の実装に加え、テスト用マイナンバーカードの手配や検証に多大な時間とリソースを要します。

そうした制約を解決し、事業者のお役に立つのが当社ポケットサインの「ジョブトラスト」です。採用にまつわる確認業務がワンストップで、数分で完結します。

・ジョブトラスト サービス詳細:https://go.pocketsign.co.jp/

マイナンバーカードの活用に際してはぜひ実績豊富な当社にご相談ください。

▼ポケットサインのサービスや取り組みについては当社公式サイトをご覧ください。
https://pocketsign.co.jp/

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マイナンバーカードで、自社サービスの本人確認をより厳格に|資料配布中

本人確認の厳格化に向けた法改正が進むなか、鍵となるのが「公的個人認証」の活用です。

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このような課題をお持ちの方は、ぜひ資料をご覧ください。
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マーケティングチーム

南 昇平

新聞記者、Saasスタートアップ広報を経て大手IT企業広報。マイナンバーカードやJPKIに関するニュースを分かりやすくお伝えします。

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