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自治体の子育て支援とは?DX推進の背景・現場課題・事例を紹介

2026-05-26

「子育て支援」という言葉は広く使われていますが、自治体が実際に担う支援の範囲は、保育・給付・相談・地域連携と多岐にわたります。少子化が加速し、共働き世帯の増加や就労形態の多様化が進む中、住民側のニーズは急速に複雑化しており、従来の窓口対応や紙書類中心の運営では追いつかない局面が増えています。

一方で、現場の保育担当職員は限られた人員で膨大な事務処理をこなしており、本来やるべき「住民への寄り添い支援」が後回しになっているという声は少なくありません。そこで注目されているのが、マイナンバーカードやデジタルツールを活用した子育て支援のDX化です。

本記事では、自治体の子育て・保育担当職員の方に向けて、子育て支援の基本的な定義と種類から、現場が抱える課題・国の政策動向・全国の自治体事例をまとめて解説します。

目次

子育て支援とは?自治体が担う役割と支援の種類

子育て支援とは、子どもを産み育てる家庭に対して、経済・保育・相談・情報などの面から社会全体で支える取り組みの総称です。 少子化の進行や核家族化・共働き世帯の増加を背景に、1990年代以降、国・都道府県・市区町村が連携して制度の拡充を続けてきました。

自治体の子育て支援は大きく4つの領域に分けられます。

  1. 経済的支援
    児童手当・出産祝い金・保育料無償化・医療費助成など、子育て世帯の費用負担を軽減する給付・助成制度

  2. 保育サービス
    認可保育所・認定こども園・小規模保育・延長保育・休日保育・病児保育など、多様な働き方に対応した保育の場を確保する取り組み

  3. 相談・情報提供
    こども家庭センターや子育て支援拠点を通じた育児相談、妊娠期からの伴走型支援、乳幼児全戸訪問など

  4. 地域・つながり支援
    子育てパスポートや地域ポイントによる店舗優待、ファミリーサポートセンター、子育てサークルの場づくりなど、孤立防止と地域とのつながりを促す施策

これらの支援は法律上、必要とするすべての家庭が利用でき、こどもたちがより豊かに育っていける支援を目指すことを目的として整備されており、各市区町村が実施主体として地域の実情に応じた計画を立てることが義務付けられています。

参考:こども家庭庁|子ども・子育て支援制度

子育て支援DXが求められる背景

上記4領域の子育て支援は制度として整備されてきた一方、その届け方・運営方法のアナログ性が大きな壁となっています。 共働き世帯が当たり前となった昨今、保護者が平日の昼間に窓口へ足を運ぶことを前提とした手続きや、紙書類による申請・管理は制度設計と実態のギャップを生んでいます。背景にある変化は主に3点です。

就労形態の多様化による保育ニーズの複雑化

医療・介護・サービス業・物流など、土日・祝日・夜間に稼働する職場で働く保護者は少なくありません。午前中から夕方までといった標準的な開所時間を基本とする従来の保育サービスは、シフト勤務や非正規雇用など多様化する保護者の就労形態に十分対応できていないのが実情です。

こうした背景から、延長保育・休日保育・病児保育といった特別保育へのニーズは年々高まっています。しかし対応できる施設数は限られており、保護者が預け先を見つけられないケースも少なくありません。保育サービスの拡充と、それを支える運営業務の効率化が同時に求められています。

保育業務のICT化が遅れている

現状では保育施設におけるICT導入は限定的で、手書きやアナログの業務が存続しているため、保育士等の事務負担が大きくなっています。自治体においても書類管理や煩雑な審査への対応が多く、担当者が本来の支援業務に集中できない状況が続いています。

特に深刻なのは、慢性的な人材不足が続く保育現場において、膨大な事務負担が職員の疲弊につながり、離職を招く一因となっているという点です。業務負担の軽減は職員の働きやすさに直結しており、保育の質を維持するうえでも効率化は急務となっています。

参考:こども家庭庁|保育業務施設管理プラットフォーム及び保活情報連携基盤(令和8年度)の導入に向けた自治体説明会資料

マイナンバーカードの普及による認証基盤の整備

マイナンバーカードの保有率は2026年2月末時点で81.7%に達しており、本人確認・申請のデジタル化が現実的な選択肢として広がっています。かつては「マイナンバーカードを持っていない住民への対応」がデジタル化の障壁のひとつでしたが、保有率が8割を超えた今、その前提は大きく変わりました。

マイナンバーカードを活用することで、窓口に来庁しなくても本人確認を伴う手続きをオンラインで完結できます。子育て支援の分野でも、保育所の申請・子育てパスポートの発行・給付金の受け取りといった場面でのデジタル化が加速しており、住民の利便性向上と自治体の事務効率化を同時に実現できる基盤として注目されています。

参考:総務省|マイナンバーカード交付状況について

自治体の子育て支援現場が抱える3つの課題

子育て支援DXの必要性は多くの自治体が感じているものの、「何から手をつければよいかわからない」という声もよく聞かれます。まず、現場で起きている課題を整理します。

【課題1】申請・手続きのアナログ対応による「住民と職員の二重負担」

子育て支援にまつわる行政手続きは数が多く、書類の準備・窓口来庁・郵送対応など保護者への負担が大きい一方、受け付ける職員側も処理に追われています。

▼現場で起きていること

  • 保育所の申込・就労証明書の提出・認定変更届などが紙ベースで運用され、窓口に保護者が集中する

  • 電子申請を導入していても原本書類の別途提出が必要なケースが多く、デジタル化の恩恵が限定的

  • 申請書類の記載ミスや記入漏れへの対応で職員の時間が費やされる

  • 子育て支援に関する問い合わせが電話・窓口・メールに分散し、対応コストが高い

こうした状況の改善を図るため、国は「届出一度きり原則(ワンスオンリー)」の実現をデジタル3原則の1つとして掲げており、手続きのオンライン化・標準化を推進しています。

参考:デジタル庁|デジタル3原則

【課題2】縦割り管理により「支援の全体像が見えにくい」問題

子育て支援は保育・母子保健・こども家庭・教育など複数部署にまたがる業務です。各部署がそれぞれの台帳・システムで情報を管理しているため、支援が必要な世帯を面的に把握しにくい構造的な問題があります。

▼現場で起きていること

  • 保育所在籍情報・子育て給付・健診データが別々のシステムに分散し、担当者間の情報共有が遅れる

  • 子育てパスポートや地域向け給付の利用実績が紙や個別台帳で管理され、集計・分析に手間がかかる

  • 施策の効果検証に必要なデータが揃わず、次年度の事業計画立案に影響する

こども家庭庁は2025年度中に「子育て支援制度レジストリ」の整備と、必要な情報をプッシュ型で届ける基盤の全国展開を進めており、データの一元化・連携が重要な政策課題となっています。

参考:こども家庭庁|こども政策DXについて

【課題3】休日保育など特別ニーズへの「対応リソース不足」

休日保育は、平日の通常保育に比べて利用者が少なく収益性が見込みにくいため、休日保育・病児保育・一時預かりは受け入れ施設数が限られているのが実情です。さらに、運営上の事務コストが施設・自治体の双方にとって重荷となっています。

▼現場で起きていること

  • 休日保育の予約が電話のみで受け付けられており、保育中の職員が対応を強いられる

  • 利用のたびに就労証明書の原本提出が必要で、保護者・施設双方に書類管理の負担が生じる

  • 複数施設の空き状況をリアルタイムに共有できず、問い合わせが分散する

  • 利用実績データが施設ごとに管理され、自治体全体での把握・計画立案に支障が出る

国の方針:こども家庭庁が推進する子育て支援DXの方向性

こうした課題を受け、こども家庭庁は「こども政策DX推進チーム」を設置し、子育て支援のデジタル化に向けた行動計画を継続的に展開しています。主な施策の方向性は以下のとおりです。

  • 電子版母子健康手帳の原則化:紙の母子手帳からデジタルへの移行を推進。ガイドラインの発出とともに全国展開を進めています

  • 保活のワンストップ化:保育施設の検索・見学予約・入所申請がオンラインで完結できる「保活情報連携基盤」が整備され、2026年度の入所申請から運用改善が始まっています

  • 子育て支援制度のプッシュ配信:子育て世帯が必要な支援情報を自動的に受け取れる仕組みの全国展開を推進中

  • 保育業務施設管理プラットフォームの全国展開:保育施設と自治体の業務システムを連携するプラットフォームが整備され、2026年度以降の全国展開が進んでいます

東京都では都内62自治体の「子育て支援制度レジストリ」を国と連携して整備し、約7,800制度をオープンデータ化するなど、プッシュ型配信の先行実証が進んでいます。

自治体が子育て支援DXを進めるにあたっては、こうした国の基盤整備と連動しながら、地域のニーズに即したデジタルサービスを展開していくことが重要になっています。

参考:こども家庭庁|こども政策DXの推進に向けた取組方針2025 参考資料集

自治体の子育て支援DX導入事例

全国各地で子育て支援のデジタル化が進んでいます。ここからは全国の自治体の取り組みを紹介します。

【母子保健DX】福岡県北九州市|妊娠届デジタル化で職員業務を年460時間削減

北九州市は、電子母子健康手帳アプリ「きたきゅう子育て応援アプリ」を活用して母子保健分野のデジタル化を推進しています。妊娠届出のオンライン申請機能を導入した結果、市職員の業務工数を年間で約460時間削減することに成功しました。

窓口来庁が前提だった手続きがアプリで完結できるようになり、妊婦の精神的・身体的負担が大きく軽減されています。「時間削減」という定量的な効果が明確に出ている点で、庁内での導入推進の説得材料としても活用しやすい事例です。

引用:デジタル地方創生サービスカタログ|母子モ/母子モ子育てDXより

【保活ワンストップDX】東京都|19自治体・1,276園が参加する保活デジタル化の全国モデル

東京都はGovTech東京と連携し、「保活ワンストップ」プロジェクトを推進しています。保育園の情報収集・見学予約・指数シミュレーション・入園申請まで、保活に必要な一連の手続きがスマートフォンからオンラインで完結できる基盤を整備したものです。

現在、都内19自治体1,276園でサービスを提供しており、保育施設の情報収集や見学予約のほか、保活オンライン相談や保育指数の試算機能も一部自治体で展開されています。本プロジェクトは国の保活情報連携基盤の全国展開(2026年度〜)の先行モデルと位置づけられており、令和8年度中に国のシステムへの移行が予定されています。東京都での実証結果が全国の保活DXの標準モデルになる取り組みとして、自治体担当者にとって注目度の高い事例です。

引用:GovTech東京|保活ワンストッププロジェクト」より

【保育入所選考DX】福島県郡山市|AI活用で入所選考作業を年間690分→7.5分に短縮

保育所の入所選考は、各家庭の就労状況・兄弟の希望・転園希望など複雑な条件を考慮しながら公平に振り分ける必要があり、繁忙期には担当職員が1週間以上を費やすこともある負荷の高い業務です。AIシステムの導入によってこの業務を効率化する動きが、全国各地で広がり始めています。

福島県郡山市は2024年11月、サイバーエージェントAI Labが開発した保育所入所選考システム「ChilmAI」をいち早く導入しました。これまでは申し込みデータの抽出後に手作業でのデータ変換が必要で年間690分を要していましたが、「ChilmAI」の導入によりデータ変換が不要になったことで、一連の作業は年間7.5分で完了し、飛躍的な効率化を実現しました。AIの活用により選考の透明性を保ちながら業務負担を大幅に軽減した事例として、入所選考のデジタル化を検討している自治体に参考になります。

引用:株式会社サイバーエージェント|AI Lab、透明性と効率化を実現する保育所入所選考システム「ChilmAI」の提供を開始より

【保育DX】広島県福山市|全公立施設のICT化からマイナ活用予約まで段階的に推進

広島県福山市は、保育分野のDXを段階的かつ包括的に推進している先進自治体です。まず2024年9月、保育園やこども園を含む市内すべての公立保育施設53か所に「スマート保育」を導入し、手書き連絡帳のデジタル化・登降園管理・保育料の自動集計を一元化しました。当初5年計画を3年に前倒しで達成しており、現場での評価の高さがうかがえます。

さらに休日保育の予約業務にもデジタル化の範囲を広げ、マイナンバーカードを活用した予約サービスを導入。利用対象を備後圏域(広島県・岡山県の7市2町)に拡大し、広域受け入れも実現しています。「日常の保育連絡」から「休日保育の予約・本人確認」まで、あらゆる接点を順次DX化する福山市の取り組みは、段階的な導入を検討する自治体にとって参考になるモデルケースといえます。

引用:
デジタル庁ニュース|「自治体DXニュース:Vol.7(2025年1月)」より
広島県福山市|休日保育予約サービスについてより

【子育てパスポートDX】宮城県|マイナンバーカードで地域ポイント付与をアプリ完結

宮城県は2025年11月より、ポケットサインと連携して「ポケットサイン子育て支援」ミニアプリを導入しました。これまで紙で配布していた子育てパスポートをデジタル化し、地域店舗での割引や地域ポイントの付与をアプリ上で完結できる仕組みを整えたものです。

さらに、2025年4月1日以降に生まれたお子様の情報をアプリに登録した家庭には、「みやポ(みやぎポイント)」10,000ポイントがプレゼントされる仕組みも用意されており、利用促進と子育て支援の両立を図っています。

マイナンバーカードによる親子関係の確認・本人認証を活用することで、対象世帯への確実かつ迅速な支援配布を実現しています。宮城県の担当者は「利用者からアプリ化を求める声が多数寄せられていたことが導入の契機となった」と述べており、住民ニーズに応える形での展開となっています。

引用:宮城県公式ウェブサイト|みやぎ子育て支援パスポート より
参考:【新プロダクト】マイナンバーカードを活用した子育て支援アプリ「ポケットサイン子育て支援」を開発 

子育て支援DXなら「ポケットサイン子育て支援」ミニアプリ

こうした課題を解決するのが、ポケットサイン株式会社の子育て支援関連ミニアプリです。デジタル庁の自治体向け情報誌「マイナンバーカード・インフォ(vol.104、令和8年1月)」にも導入事例として紹介されており、宮城県での導入実績があります。

特徴1:自治体公式スーパーアプリ基盤で、住民がアプリを使い続ける環境を実現

ポケットサインは、複数の行政サービスを1つの自治体公式アプリに集約できる「スーパーアプリ基盤」として設計されています。子育て支援・休日保育・地域ポイントなど、異なる部署の施策をミニアプリとして順次追加できるため、住民は「また新しいアプリをダウンロードしなければならない」という煩わしさから解放されます。

自治体側にとっても、施策ごとにシステムが乱立せず単一のプラットフォームで管理できるため、運用コストと職員の管理負担を抑えられます。子育て支援からスタートし、必要に応じて他のミニアプリを追加していく段階的な導入が可能な点も、予算・体制の制約が大きい自治体にとって導入しやすいポイントです。

特徴2:「子育て支援」「休日保育」2つのミニアプリで多様なニーズに対応

ポケットサイン子育て支援ミニアプリは、親子のマイナンバーカードで子育て世帯を認証し、子育てパスポートの発行・地域ポイントの付与をアプリ上で完結できるサービスです。宮城県での導入事例が示すように、紙パスポートの廃止と支援の即時性向上を同時に実現できます。

また、ポケットサイン休日保育ミニアプリは、住民向けの予約機能と保育施設向けの管理機能を一体化したミニアプリです。広島県福山市での実証を経て、電話・紙管理からの完全脱却を実現した実績があります。予約状況・定員管理・利用実績のリアルタイム一元把握が可能で、自治体の計画立案データとしても活用できます。

特徴3:マイナンバーカードによる確実な本人確認で、給付・認定業務の不正を防止

ポケットサインのすべてのミニアプリは、マイナンバーカードのJPKIによる認証を基盤としており、1人1アカウントを厳密に保証します。なりすまし・二重申請・不正受給のリスクを排除しながら、住民が窓口に出向かずに各種サービスを利用できる環境を提供します。子育てパスポートの発行や地域ポイントの付与など、給付・認定を伴う業務ほど、この「確かな本人確認」が不正防止と事務効率化の両面で大きな効果を発揮します。

▼関連情報・カタログ

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ポケットサイン株式会社はマイナンバーカードの普及促進と活用拡大に注力しており、自治体や民間企業との積極的な協業・DXの支援を推進しています。子育て支援業務のデジタル化や休日保育の予約・管理効率化でお悩みの際は、マイナンバーカードを活用した実践的なソリューションをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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マーケティングチーム

中西 健太

ポケットサイン株式会社のマーケティング担当として、マイナ活用.comのコンテンツ制作などに従事しています。

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