経歴調査とは?採用での確認方法・法的注意点・本人同意を解説
2026-08-25
中途採用では、候補者が申告した職歴や在籍期間が実際と異なっていた、というケースは珍しくありません。近年は、経歴詐称や内定取消しの有効性が争われた事案が報道されるなど、採用時に候補者の経歴をどこまで確認すべきかへの関心が高まっています。ただし、経歴調査は候補者のプライバシーや思想・信条の自由に関わるため、進め方を誤ると法的なリスクを抱えることにもなりかねません。
この記事では、経歴調査の意味と目的、確認できる範囲と確認してはいけない範囲、具体的な方法、そして本人同意をはじめとする法的な注意点までをわかりやすく解説します。あわせて、従来手法の課題と、公的データを使って職歴・在籍を効率的に確認する新しい方法も紹介します。中途採用に携わる人事・採用のご担当者に向けた内容です。

目次
- 経歴調査とは|前職調査・職歴調査との違い
- 採用で経歴調査が必要な理由・目的
- 経歴調査で確認できること・確認してはいけないこと
- 経歴調査で一般的に確認する項目
- 収集してはいけない・配慮が必要な項目
- 経歴調査の方法
- 経歴調査の法的注意点|本人同意と収集してよい範囲
- 従来の経歴調査が抱える3つの課題
- 【課題1】前職への確認による「手間と時間」
- 【課題2】調査会社への委託による「コストの負担」
- 【課題3】アナログな確認による「候補者の心理的負担と情報の不確かさ」
- 公的データで職歴・在籍を確認するという選択肢
- 職歴・在籍の確認なら「ジョブトラスト」
- 特徴1:公的データに基づいて職歴・在籍を確認できる
- 特徴2:書類回収や前職への確認の手間を軽減できる
- 特徴3:いつもの選考フローに無理なく組み込める
- 採用時の経歴調査について無料で相談を受付中
経歴調査とは|前職調査・職歴調査との違い
経歴調査とは、採用の選考過程で、候補者が履歴書や職務経歴書に記載した職歴・在籍先・資格などの内容が正確かどうかを確認する取り組みの総称です。まずは、言葉の意味と、混同されやすい類語との違いから見ていきます。
経歴調査は「前職調査」「職歴調査」とほぼ同じ意味で使われることが多く、いずれも候補者の過去の勤務先や在籍期間、担当業務といった客観的な情報を確認する行為を指します。また、より広い概念として「バックグラウンドチェック(採用調査)」があります。こちらは、職歴や学歴の確認に加え、必要に応じて資格、反社会的勢力との関わり、公開情報などを確認する採用調査を指すことが一般的です。
もう一つ、混同されやすいものに「リファレンスチェック」があります。リファレンスチェックは、候補者の前職の上司や同僚に、働きぶりや人柄をヒアリングする手法です。職歴・在籍といった客観的な情報の確認よりも、候補者の仕事の進め方や強みを第三者の視点から把握することに主眼がある点で、経歴調査とは目的が異なります。
とはいえ、候補者の自己申告だけに頼らず第三者からの情報で裏づけるという点は共通しており、広い意味での経歴確認の手段としては同じ枠組みに含まれます。実務でも経歴調査と組み合わせて用いられることは少なくありません。この記事では、こうした手法も含めて整理しつつ、候補者の職歴・在籍という客観的な情報の確認に軸足を置いて解説します。
採用で経歴調査が必要な理由・目的
なぜ多くの企業が採用時に経歴調査を行うのでしょうか。ここでは、経歴調査が必要とされる背景と、企業が得ようとしている目的を見ていきます。
背景には、中途採用の増加と、それに伴う経歴詐称・ミスマッチのリスクがあります。少子高齢化で人手不足が深刻化するなか、企業は新卒採用だけでは人材を確保しきれず、即戦力となる経験者の中途採用を積極化しています。働く側にとっても転職は一般的な選択肢となっており、総務省「労働力調査(詳細集計)」によると、2025年平均の転職者数は330万人と、直近3年は330万人前後の高い水準で推移しています。さらに、転職等希望者数は1,023万人と前年から23万人増加しており、転職を視野に入れる人の裾野は広がっています。
書類選考と数回の面接だけでは、候補者が申告した職歴や在籍期間の正確さを見抜くことは容易ではありません。実際に、在籍先や役職、保有資格などが申告と異なっていたことが入社後に判明し、配置やマネジメントに支障が出るケースもあります。近年は、経歴詐称を理由とした中途採用の内定取消しの有効性が裁判で争われ、取消しを有効とする判決が示された事案(東京地裁令和6年7月18日判決。控訴審の東京高裁令和6年12月17日判決でも支持)が報道されるなど、採用時の確認の重要性が改めて注目されています。
企業が経歴調査を行う主な目的は、大きく3つに分けられます。1つ目は、経歴詐称の防止です。申告内容と実際の食い違いを選考段階で把握することで、採用のミスマッチを未然に防ぎます。2つ目は、適正な人材配置と定着です。職歴や経験を正確に把握できれば、入社後の配属や育成計画をより的確に設計できます。3つ目は、コンプライアンスとリスク管理です。とくに金融・不動産・士業など、経歴や資格が業務の前提となる職種では、確認そのものが企業の信頼を守ることにつながります。
実際に、当社が実施した調査(2026年3月実施、企業の人事担当者n=300)でも、経歴の確認を「面接での深掘り質問のみ」で行っている企業は約2割にとどまり、残る約8割は証明書類の確認や適性検査、第三者によるチェックなどを併用していました。候補者の経歴を何らかの形で確認することは、もはや一部の企業だけの特別な対応ではなくなりつつあります。
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参考:
日本経済新聞|経歴詐称で内定取り消し認める判決 転職男性敗訴に見る司法の変化(2025年)
総務省統計局|統計トピックスNo.123 増加傾向が続く転職者の状況(2020年2月21日)
総務省統計局|労働力調査(詳細集計)年平均結果
経歴調査で確認できること・確認してはいけないこと
経歴調査は「何を調べてもよい」というものではありません。以下で、一般的に確認される項目と、法令・指針の観点から収集を避けるべき項目に分けて解説します。
経歴調査で一般的に確認する項目
採用選考で一般的に確認されるのは、候補者本人が申告した内容の裏付けとなる客観的な情報です。具体的には、次のような項目が挙げられます。
過去の勤務先(在籍先企業名)と在籍期間
役職・担当業務などの職歴
保有資格や免許の有無
卒業した学校などの学歴
これらは、いずれも候補者の適性・能力を判断するうえで、業務上の必要性を説明しやすい項目です。経歴調査は、こうした職務遂行に関係する客観的な情報に範囲を絞って行うことが基本となります。
収集してはいけない・配慮が必要な項目

引用:厚生労働省|採用選考時に配慮すべき事項 より
他方、採用選考にあたって収集してはならない、あるいは慎重な配慮が求められる項目もあります。厚生労働省は「公正な採用選考」の観点から、本籍・出生地、家族の状況、生活環境、宗教、支持政党、思想・信条、労働組合への加入状況、そして身元調査などを、応募者の適性・能力とは関係のない「採用選考時に配慮すべき事項」として挙げています。これらを把握しようとすることは、就職差別につながるおそれがあるためです。
経歴調査を行う際は、あくまで職務遂行に関係する範囲の確認にとどめ、思想・信条や社会的差別の原因となるおそれのある事項に踏み込まないことが重要です。
経歴調査の方法
経歴調査にはいくつかの方法があります。ここでは代表的な手法と、それぞれの特徴を確認します。
1つ目は、自社での確認です。候補者から在籍証明書や源泉徴収票、資格証などの提出を求め、申告内容と照合する方法で、追加コストは抑えられますが、書類の回収や真偽の確認に手間がかかります。2つ目は、調査会社への委託です。専門の調査会社が前職への聞き取りや各種調査を代行しますが、費用が発生し、調査範囲によっては候補者への配慮も必要になります。3つ目は、リファレンスチェックです。前職の関係者から働きぶりをヒアリングする方法で、人物像の把握に向きますが、職歴・在籍の客観的な裏付けには必ずしも適しません。
近年はこれらに加えて、公的に記録された情報(公的データ)を、候補者本人の同意のもとで確認するという選択肢も広がりつつあります。いずれの方法を採る場合も、候補者本人の同意を前提とし、確認する範囲を業務上の必要性に照らして限定することが欠かせません。
経歴調査の法的注意点|本人同意と収集してよい範囲
経歴調査は、進め方を誤ると法令違反や差別につながるおそれがあります。押さえておきたい法的な注意点を、順に見ていきます。
まず大前提となるのが、候補者本人の同意です。候補者本人の同意なく第三者から在籍情報などを取得することは、個人情報保護法上の取扱いやプライバシーへの配慮の観点から、慎重な対応が求められます。実際に、個人情報保護委員会のQ&Aでも、退職した従業者の在籍確認や勤務状況等に関する問合せに答えることは個人データの第三者提供に該当し、本人の同意がある場合等を除き提供できないと示されています。経歴調査を行う場合は、調査の目的と範囲を具体的に示したうえで、書面などで本人の明確な同意を得ておくことが基本です。
次に、収集してよい情報の範囲です。職業安定法では、労働者の募集を行う者などが求職者等の個人情報を収集する際は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして収集しなければならないと定められています。さらに、厚生労働省の指針(平成11年労働省告示第141号、最終改正:令和4年厚生労働省告示第198号)では、人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想および信条、労働組合への加入状況について、原則として収集してはならないとされています。
加えて、経歴調査を実施するタイミングにも注意が必要です。内定を出した時点で労働契約が成立したと解される場合があり、内定後に判明した事情を理由とした一方的な取消しは、無効と判断されるリスクがあります。経歴調査は、原則として内定を出す前の選考段階で、本人同意を得たうえで行うことが望ましいといえます。
なお、前述の内定取消しが有効とされた事案は、雇用契約書に経歴調査に関する条項が置かれていたうえ、詐称の内容が悪質と評価されたケースです。裁判所は中途採用でも従来どおり厳格な枠組みで判断しており、内定取消しが広く認められるようになったわけではありません。
参考:
個人情報保護委員会|「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A(Q7-12)
e-Gov法令検索|職業安定法(第5条の5)
厚生労働省|求職者等の個人情報の取扱いに関する指針(平成11年労働省告示第141号)
従来の経歴調査が抱える3つの課題
法令に配慮しながら経歴調査をきちんと行おうとすると、従来の手法には見過ごせない負担が伴います。「確認はしたいものの、手間やリスクが気になって踏み込みきれない」と感じる採用担当の方も少なくないのではないでしょうか。以下で、代表的な3つの課題を確認します。
【課題1】前職への確認による「手間と時間」
在籍や職歴を確かめる際、前職企業へ電話やメールで問い合わせる方法は、担当者の負担が大きいものです。相手先の担当者につながるまでに時間がかかるうえ、企業によっては在籍情報の回答を控える方針をとっているため、確認そのものが完了しないことも少なくありません。採用のスピードが重視される中途採用では、この確認プロセスの遅れが、候補者の他社への流出につながるおそれもあります。
【課題2】調査会社への委託による「コストの負担」
専門の調査会社に委託すれば手間は軽減できますが、その分の費用が発生します。調査の範囲や対象人数によっては、採用1人あたりのコストが大きくなり、採用数の多い企業ほど負担が積み上がります。限られた採用予算のなかで、どこまでの調査を委託するかの判断が求められます。
【課題3】アナログな確認による「候補者の心理的負担と情報の不確かさ」
前職への問い合わせは、候補者が転職活動をしていることが現職・前職に知られるきっかけになりかねず、候補者に心理的な負担を与えます。さらに、在籍証明書や源泉徴収票などの書類も、回収や真偽確認に手間がかかるうえ、書類の内容だけでは在籍期間の細部までを客観的に確認しきれない場合があります。手続きの負担と情報の確かさを両立させにくい点が、従来手法の共通した課題です。
公的データで職歴・在籍を確認するという選択肢
では、手間もコストも抑えながら、客観性のある確認を行う方法はないのでしょうか。近年その打ち手として広がりつつあるのが、公的データを、候補者本人の同意のもとで確認する方法です。その考え方を見ていきます。
たとえば、雇用保険の加入記録は、加入していた事業所や加入期間などが公的に記録されており、本人はこうした情報をマイナポータルを通じて確認できます。加入記録には、入社日・退職日にあたる資格の取得日・喪失日も含まれるため、在籍期間の食い違いにも気づきやすくなります。前職への電話や調査会社への委託に頼らず、公的データに基づいて職歴・在籍を確認できれば、確認の手間やコストを抑えつつ、情報の客観性を高められます。なお、マイナポータルで確認できるのは、現在雇用保険に加入している場合や、直近5年以内に離職などの記録がある場合に限られる点には留意が必要です。
重要なのは、この方法があくまで「候補者本人の同意」を前提とする点です。本人が自らの情報を開示することに同意したうえで、必要な範囲の情報だけを確認する。この形であれば、前章までに述べた法的な注意点にも配慮しながら、経歴調査を効率化できます。
参考:厚生労働省|マイナポータルで雇用保険の加入記録などを確認できます(2020年3月13日掲載)
職歴・在籍の確認なら「ジョブトラスト」

こうした「本人同意を前提に、公的データで職歴・在籍を確認する」という考え方を採用実務に落とし込んだサービスが、ポケットサイン株式会社が提供する「ジョブトラスト」です。ジョブトラストは、候補者本人の同意のもとで、公的データをもとに職歴や年収に関する情報を確認できる採用支援サービスで、書類回収や前職への確認にかかる手間を軽減しながら、公正な選考と候補者との相互理解を後押しします。
当社は、公的個人認証法に基づく主務大臣認定(プラットフォーム事業者)を取得しています。これは、公的個人認証に基づく本人確認を提供できると国から認められた事業者であることを示すものです。あわせて、情報セキュリティに関する国際規格(ISO/IEC 27001・27017・27701)も取得し、お客様の情報を安全に取り扱うための体制を整えています。
特徴1:公的データに基づいて職歴・在籍を確認できる
ジョブトラストでは、候補者本人の同意のもと、公的データに基づいて在籍先や在籍期間といった職歴・在籍の情報を確認できます。自己申告の内容を補完することで、より確かな採用判断を後押しします。申告内容と確認結果に違いがあった場合も、候補者との認識の違いを確認し、その背景を対話しながら把握できます。
特徴2:書類回収や前職への確認の手間を軽減できる
企業側は、採用管理の画面から候補者へ認証リンクを送るだけで手続きを始められます。候補者はスマートフォンで本人認証を行うため、在籍証明書や源泉徴収票などの書類を回収・照合する負担を抑えられます。前職企業への問い合わせが不要、または最小限で済むケースもあり、候補者への配慮にもつながります。
特徴3:いつもの選考フローに無理なく組み込める
ジョブトラストは、認証リンクの送付、候補者による本人認証、管理画面での結果確認という3つのステップで完結します。専用システムの構築や複雑な設定を必要とせず、適性検査などと同じタイミングで依頼するといった形で、既存の選考フローに自然に組み込めます。なお、サービスの提供にあたってマイナンバー(個人番号)は取得せず、業務に必要な範囲の情報のみを本人同意のもとで扱う設計としています。
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マーケティングチーム
中西 健太
ポケットサイン株式会社のマーケティング担当として、マイナ活用.comのコンテンツ制作などに従事しています。








