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「独身偽装」トラブルを防ぐには? マッチングアプリにおけるマイナンバーカード本人確認の最前線 

2026-06-02

40歳未満の既婚者のうち4人に1人がマッチングアプリや婚活アプリをきっかけに出会って結婚している(こども家庭庁調べ)といわれる現代。同アプリは今や、真剣な出会いを求める人々にとって欠かせない「インフラ」となりました。一方で、利便性の裏に潜む「なりすまし」や詐欺といったトラブルも急増しています。利用者が安全にサービスを利用し、事業者が健全なプラットフォームを維持するためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

折から、マッチングアプリなどを規制する法律の施行規則が改正され、本人確認の手法がアップデートされたばかりです。本記事では、消費者(ユーザー)とアプリ事業者の双方の視点から、近年社会問題化している「独身偽装」の実態と、マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービス(JPKI)*などによる最新の本人確認・独身証明について解説します。

*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure):マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に認証する仕組みのこと。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長。

目次

40歳未満夫婦の25%がアプリ経由で出会い

こども家庭庁の調査*によると、40歳未満の既婚者のうち25.1%がマッチングアプリで出会って結婚していることが分かりました(下グラフ)。これは、「職場や仕事の関係、アルバイト先」の20.5%を上回って最多であり、4人に1人がマッチングアプリ経由で出会った計算になります。

また、既婚者のうち56.8%は「マッチングアプリを利用したことがある」と回答しており、未婚者の26.8%を大きく上回りました(下グラフ)。

*:こども家庭庁「ウェブアンケート調査結果」(2024年7月実施)

一方で、アプリを通じて知り合った相手に恋愛感情を抱かせ、金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」や、既婚者(主に男性)が独身と偽ってアプリに登録し、交際相手の「貞操権」を侵害するといったトラブルが生じているのも事実です。

マッチングアプリtapple(タップル)の運営会社(株式会社タップル)が実施した調査*では、過半数のユーザーが「相手が既婚者かもしれない」と心配になった経験があると回答しました。また、男女ともに8割以上の人が、「相手が本当に独身か分からないので、何かしらの形で証明してほしい」と望んでいることが分かっています。

* 調査のプレスリリースはこちら(調査期間:2024年5月/回答者:全国男女5,429名/調査手法:SurveyMonkeyを利用したアプリ内アンケート)

アプリ事業者側も危機感を募らせています。デジタル庁ニュースの記事には、一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会の飯塚勇太代表理事(株式会社タップル取締役)のこんなコメントが引用されています。

「4人に1人がマッチングアプリで出会って結婚されており、非常に大きな社会的責任があると感じています。真剣な出会いを求めてご活用されている利用者の方が、トラブルや犯罪に巻き込まれてしまうことは大変遺憾であり、容認できません」
(「マイナンバーカードで本人確認を強化 マッチングアプリをより安全・安心なものに」より)

このため、アプリ登録時の本人確認の強化が課題になっていました。ただ、単に本人確認を厳しくするというだけでは、利便性の低下からユーザー離れを誘引しかねず、厳格かつ簡便に本人確認ができるUI/UXの実現が懸案となっているのです。

国も推進する「マイナンバーカード」による本人確認

そこで政府も動きました。まず、2024年6月に閣議決定した「国民を詐欺から守るための総合対策」において、マッチングアプリ事業者に対し、より厳密な本人確認の実施など自主的な不適正利用対策に取り組むよう働きかけることが盛り込まれました。また、同年9月にはデジタル庁と警察庁の連名で、マッチングアプリの業界団体に対し、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害防止に向けたマイナンバーカード活用を要請しています。

翌2025年には大きな動きがありました。デジタル庁と一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会が、本人確認におけるマイナンバーカードの活用の推進に向けた協定を締結したのです。

協定の概要は次のとおりです。

  • アプリにおけるマイナンバーカードによる年齢、独身証明や所得証明等の属性情報の確認の活用を進め、サービスの信頼性向上を図る

  • アプリでのマイナンバーカードの活用等を通じ、マイナンバーカードの利便性・信頼性に対する認知の向上や、その利活用ケースの拡大に努める

  • アプリサービスにおけるマイナンバーカードに関連する業界の課題や技術的課題の解決、マイナンバーカード利用の利便性の向上に向け協力する

↑ スマートフォンにマイナンバーカードをかざし、本人認証を行う様子
(出典:デジタル庁ニュース「マイナンバーカードで本人確認を強化
 マッチングアプリをより安全・安心なものに
」)

では、なぜマイナンバーカードを用いると、より厳密な本人確認を簡便に実施できるのでしょうか。そのカギはマイナンバーカードのICチップにあります。

マイナンバーカードを用いた本人確認方法の多くは公的個人認証サービス(JPKI)を活用しますが、JPKIはマイナンバーカードをスマートフォンやICカードリーダーにかざすだけで、厳格な本人確認が可能になります。また、スマートフォンにマイナンバーカードを登録していれば、マイナンバーカードのかざし自体も不要になるという高い利便性があります。

そして、JPKIが厳格な本人確認が可能な理由は、マイナンバーカードのICチップにあります。マイナンバーカードのICチップは耐タンパー性*を備えているため、偽造や不正なアクセスはほぼ不可能とされています。その堅牢なICチップ内に、本人確認で必要となる電子証明書が格納されているのです(下図 / APはアプリケーションの略)。

なおかつマイナンバーカードの電子証明書は、市町村の窓口において厳格な対面による本人確認を経て発行されますので、二重にセキュリティーが担保されていると言えます。

・参考記事:マイナンバーカードとは?制度の仕組みや安全性・今後の展望をわかりやすく解説(マイナ活用.com/2025年11月14日公開)

法改正で本人確認がより便利に

そうした中、2026年4月16日には出会い系サイト規制法(正式名称:インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)の施行規則が一部改正されました。ユーザーの年齢確認(18歳未満でないことの確認)と本人特定の方法が見直され、マッチングアプリ事業者にとってはマイナンバーカードを活用した本人確認の手法の選択肢が広がることとなりました。

・改正内容:令和8年国家公安委員会規則第6号

具体的には、従来はマイナンバーカードのJPKI-APの署名用電子証明書*を利用した方式が必須となっていました。なお、署名用電子証明書を利用する際はアルファベット大文字と数字を組み合わせた6〜16文字の暗証番号が必要になります。

* 署名用電子証明書:e-Taxでの確定申告やオンラインでの契約時などに「その手続きを本人が行い、内容が改ざんされていないこと」を公的に証明するための証明書

これに対し、施行規則改正後はマイナンバーカードを用いた下記2方式もマッチングアプリの本人確認として認められるようになりました。

  1. 利用者証明用電子証明書*1 + 券面事項入力補助AP*2を利用する方式

    必要な暗証番号:利用者証明用電子証明書用(4桁の数字) + 券面事項入力補助AP用暗証番号(4桁の数字)または照合番号B*3

  2. 券面事項入力補助APのみ利用する方式

    必要な暗証番号:券面事項入力補助AP用暗証番号(4桁の数字)

*1 利用者証明用電子証明書:マイナポータルへのログインやコンビニのキオスク端末利用時などに「操作しているのが本人であること」を証明
*2 券面事項入力補助AP:マイナンバーカードのICチップに記録された基本4情報(氏名、住所、生年月日、性別」などを安全かつ正確に読み取るためのアプリケーション
*3 照合番号B:マイナンバーカードの券面情報の読み出しに使用する暗証番号。14桁の数字で構成される

これら2つの方式では、アプリユーザーは暗証番号として4桁の数字(4PIN)を入力すればよいことになります。従来方式ではアルファベット大文字と数字を組み合わせた6〜16文字の暗証番号(署名用電子証明書)の入力が必要でした。従来方式が備えていた本人識別性の確実さ・厳格さを大きく損なうことなく、アプリユーザーのUI/UXが改善することが期待されます。

※なお、本章は警察庁(国家公安委員会)が公開した改正内容を当社法務部および顧問弁護士が吟味し解釈した内容となっています。

アプリのJPKI対応、続々と

既にアプリの本人確認に公的個人認証を実装する事業者が相次いでいます。「Pairs(ペアーズ)」を運営する株式会社エウレカは2024年8月、公的個人認証機能を活用したポケットサイン株式会社のAPIサービス「PocketSign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)」を採用しました。これは、日本で展開するマッチングアプリが利用者の本人確認に公的個人認証機能を用いる初めての事例*となりました。

* ポケットサイン調べ(2024年8月22日時点。デジタル庁「マイナンバーカード・インフォ(民間事業者向けお役立ち情報)」の掲載内容より)

ペアーズは日本で最も利用されているマッチングアプリの1つです。それまでは顔認証機能などを利用していましたが、ユーザーのさらなる安心・安全な環境づくりと、よりスムーズな本人確認によるユーザー体験(UX)の向上を実現するため、公的個人認証を導入することになりました。

(なお、具体的な仕組みとしては、公的個人認証サービスにおけるプラットフォーム事業者であるポケットサインに、サービスプロバイダ事業者であるエウレカがマイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書の有効性確認を委託する流れとなります)

・参考プレスリリース:【マッチングアプリ初】ペアーズの本人確認にPocketSign Verify採用

これに婚活アプリ・婚活サービス「Bridal Net(ブライダルネット)」を運営する株式会社IBJが続きました。2024年12月、アプリ利用者の本人確認手段として、PocketSign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)を採用しました。

・参考プレスリリース:婚活アプリ「ブライダルネット」の本人確認にPocketSign Verify導入

わずか30秒の「かんたん独身証明」

このほか、タップルは2025年4月にマイナンバーカードを活用してユーザーが独身(未婚者)であることを公的に証明する「かんたん独身証明」機能の提供を始めました。

かんたん独身証明は、行政機関が持つ個人情報と民間のアプリ・Webサービスをつなぐためにデジタル庁が提供する「マイナポータルAPI」という仕組みを利用した機能です。ユーザー本人の同意の下、マイナポータルを経由して戸籍から婚姻関係情報を取得し、アプリ上に「独身証明」のマークを表示させるという仕組みです。

・参考:マイナポータルAPI仕様公開サイト

秀逸なのはそのUI/UXです。ユーザーはスマートフォンにマイナンバーカードを2回かざし、パスワードを入力すると、約30秒で手続きが完了します。役所に足を運んで紙の書類を取り寄せる手間を省くことができ、大きく利便性が向上しています。

・参考プレスリリース:【全国初※】マッチングアプリ「タップル」、マイナンバーカードを利用した「かんたん独身証明」を2025年4月30日に公開 ~より安心して恋活・婚活できる環境を提供~(タップル、2025年4月30日)

このように、これからのマッチングアプリにおいて、「厳格かつ簡便な本人確認」は、ユーザーから選ばれるための必須条件となっていきます。ユーザーは自身の身を守り、安心して真剣な出会いを探すため、公的個人認証などマイナンバーカードを活用した本人確認や独身証明機能が実装されたアプリを選ぶようになるでしょう。相手の素性が確実に分かったり、間違いなく独身であると確認できたりする機能は、大きな安心材料となるからです。

アプリ事業者にとっては、公的個人認証や独身証明の導入は「なりすまし」などの悪用を防ぐだけでなく、審査の運用コストを削減できるという大きなメリットもあります。何より、ユーザーに「安全な出会いの場」を提供することは、今や「社会インフラ」となったプラットフォームの信頼性やサービス価値の向上に直結します。

※タップルの「かんたん独身証明」は前述のとおりマイナポータルAPIを利用したサービスであり、ポケットサインのPocketSign Verifyを通じて公的個人認証(JPKI)を活用しているペアーズやブライダルネットとは仕組みが異なります。

マイナンバーカード活用ならポケットサイン

ただ、マッチングアプリ事業者が自前でネイティブアプリを公的個人認証(JPKI)対応にする場合、ICチップ読み取り機能の実装に加え、テスト用マイナンバーカードの手配や検証に多大な時間と労力を要します。

そこで自社開発よりもはるかに容易にJPKIを導入できるようにするのが、ポケットサインのAPIサービス「PocketSign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)」です(下図)。

PocketSign Verifyでは証明書を用いたデジタル署名の検証を行うAPIと、マイナンバーカードと通信して署名の生成や証明書の吸い出しを行うSDK(ソフトウェア開発キット)を利用できます。

PocketSign Verifyは、出会い系サイト規制法施行規則の改正で認められた2方式を含め、同法で規程する全ての本人確認方式に対応可能です。

なお、JPKIを他者に提供するには、公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けて「プラットフォーム事業者」になる必要があります。当社は2023年3月に民間事業者としては16社目となるプラットフォーム事業者認定を取得しています。さらに、PocketSign Verifyは、マイナンバーカードを使わずにスマートフォンのみで公的個人認証サービス(JPKI)を利用できる「スマホJPKI」への対応を完了しています。

・参考:PocketSign VerifyがiOSの「スマホJPKI」に対応(2025年6月24日付プレスリリース)

・PocketSign Verifyについて:https://pocketsign.co.jp/service/pocketsignplatform#verify

マイナンバーカードのご活用に関する事柄は、ぜひ実績豊富な当社にご相談ください。

▼問い合わせはこちらから
https://pocketsign.co.jp/contact
▼ポケットサインについてはこちら
https://pocketsign.co.jp/

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本人確認の厳格化に向けた法改正が進むなか、鍵となるのが「公的個人認証」の活用です。

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マーケティングチーム

南 昇平

新聞記者、Saasスタートアップ広報を経て大手IT企業広報。マイナンバーカードやJPKIに関するニュースを分かりやすくお伝えします。

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ポケットサイン株式会社は、次世代のデジタルプラットフォームをつくる企業です。
「信用の摩擦をゼロにする」をミッションに人々が本来やりたかったことに集中できるような環境を作り、生産性を高め、より良い社会を築くことを目指しています。

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