保険の本人確認はどう変わる?犯収法改正・eKYC・マイナンバーカード活用について解説
2026-07-27
保険の契約・名義変更・保険金支払いなどの手続きでは、必ず「本人確認」が求められます。これは犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づく法的義務であり、保険会社にとって避けて通れない業務です。一方で、対面・郵送を前提とした従来の本人確認は、手続きスピードの低下やコスト増、なりすましリスクといった課題を抱えてきました。さらに、2025〜2027年にかけて施行される犯収法の改正により、非対面の本人確認は、マイナンバーカードの*公的個人認証サービス(JPKI)を中心としたICチップ読み取り方式へ、原則として移行することが決まっています。
この記事では、保険業界における本人確認の法的根拠と課題を整理したうえで、解決策となるオンライン本人確認(eKYC)の基本、犯収法改正の最新動向、そしてマイナンバーカード(JPKI)活用のメリットまでをわかりやすく解説します。保険会社・保険事業者で本人確認業務やデジタル化を担当される方に向けた内容です。
*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure):マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に認証する仕組みのことです。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長です。以降「JPKI」と表記します。
関連記事:犯収法上のオンライン本人確認がJPKIに原則一本化へ! 企業の対応策は(マイナ活用.com 2024年9月18日公開)
関連記事:本人確認の厳格化が進行中|券面確認廃止と「ICチップ読み取り」の重要性(マイナ活用.com 2026年2月17日公開)

目次
- 保険業界で本人確認が求められる場面と法的根拠
- 保険の本人確認業務が抱える3つの課題
- 【課題1】対面・郵送による「手続きスピードの低下と契約離脱」
- 【課題2】有人対応による「本人確認コストの増大」
- 【課題3】券面の目視確認による「なりすまし・偽造リスク」
- 解決策はeKYC|オンライン本人確認とは
- 犯収法改正で保険の本人確認はJPKIへ原則一本化
- 保険業界がJPKIを活用する3つのメリット
- 契約後も効く「最新4情報提供サービス」で顧客情報を最新化
- 保険の本人確認なら「PocketSign Platform」
- 特徴1:公式アプリと組み合わせ、自社アプリの有無を問わず導入できる
- 特徴2:契約後も効く「4情報の最新化」まで対応
- 特徴3:大臣認定事業者ならではの安心と、開発のしやすさ
- 保険事業者向けに無料相談を受付中
保険業界で本人確認が求められる場面と法的根拠
保険会社は犯罪収益移転防止法(犯収法)における「特定事業者」に指定されており、顧客と一定の取引を行う際には「取引時確認」が義務づけられています。本章では、まず保険業界で本人確認が必要となる場面と、その法的な裏付けを整理します。
犯収法とは、マネー・ローンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防止するために定められた法律で、正式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」です。金融機関や保険会社などの特定事業者は、架空名義の契約が犯罪に悪用されるのを防ぐため、顧客との取引時に本人特定事項(個人の場合は氏名・住居・生年月日)の確認を行う義務を負います。
保険業務のなかで本人確認が求められる場面は、保険契約の締結、契約者貸付、満期保険金・年金・解約返戻金の支払い、契約者変更などです。また、なりすましの疑いがある取引や、本人特定事項を偽っていた疑いのある取引などは「ハイリスク取引」と位置づけられ、より厳格な方法での確認が求められます。さらに、こうしたハイリスク取引が200万円を超える財産の移転を伴う場合には、本人特定事項などに加えて「資産および収入の状況」の確認も必要となります。
参考:警察庁|犯罪収益移転防止法の概要(令和6年12月時点)
保険の本人確認業務が抱える3つの課題
法的に必須である本人確認ですが、対面や郵送を前提とした従来のオペレーションのままでは、保険会社のデジタル化が進むほどに課題が表面化します。ここでは代表的な3つの課題を整理します。
【課題1】対面・郵送による「手続きスピードの低下と契約離脱」
従来の保険契約では、申込書や告知書とあわせて本人確認書類を提出してもらい、書類確認を経て手続きを完了するのが一般的でした。とりわけ満期保険金や解約返戻金の支払い時は顧客がスピードを強く求める場面ですが、対面・郵送が前提だと対応に時間がかかり、顧客満足度の低下につながります。新規契約時も、日程調整や紙書類の記入・郵送、電話でのやり取りの煩雑さが、手続き途中の離脱率の上昇を招いている可能性があります。
【課題2】有人対応による「本人確認コストの増大」
本人確認を有人対応で行うと、人件費を中心としたコストが避けられません。問い合わせを集約するコールセンターや、紙の本人確認書類を処理する事務・営業人員など、確認業務の多くを人手に頼っているのが実情です。デジタルチャネルでの新規顧客獲得を強化するほど、こうしたバックオフィスの確認コストが事業全体の負担として重くのしかかります。
【課題3】券面の目視確認による「なりすまし・偽造リスク」
本人確認書類の券面を目視で確認する方法や、書類の画像を送信してもらう方法は、偽変造された書類を見抜くことが難しく、なりすましのリスクが残ります。実際に、偽造した本人確認書類を用いて他人になりすまし、不正に契約や口座開設を行う手口が社会問題となっています。とりわけ契約者変更のように、本人しか知り得ない情報の確認が難しい取引では、認証強度の面で改善の余地がありました。
関連記事:「なりすまし」は防げないのか…『地面師たち』で露呈!旧来の本人確認方法の落とし穴(マイナ活用.com 2024年12月2日公開)
解決策はeKYC|オンライン本人確認とは
こうした課題への有効な打ち手となるのが、eKYC(イーケーワイシー: electronic Know Your Customer)です。本章ではその基本を押さえます。
eKYCとは、スマートフォンやパソコンを用いてオンラインで完結する本人確認の総称です。従来は本人確認書類の画像と顔写真(自撮り)を送信して照合する方法などが主流でしたが、近年はマイナンバーカードのICチップを読み取り、公的個人認証サービス(JPKI)を用いて本人確認を完了する方法が注目されています。
eKYCを導入することで、保険会社は「顧客対応の大幅なスピードアップ」「本人確認にかかるコストの削減」「認証強度の強化」という3つのメリットを同時に得られます。前章で挙げた3つの課題に、ほぼ一対一で対応する打ち手だといえます。
▼オンライン本人確認(eKYC)と公的個人認証サービスの仕組みは、こちらの記事で詳しく解説しています。
公的個人認証サービス(JPKI)とは|マイナンバーカードを活用した本人確認の未来
犯収法改正で保険の本人確認はJPKIへ原則一本化
eKYCのなかでも、今後の保険業界の本人確認を大きく左右するのが犯収法の改正です。本章では、その流れと施行スケジュールを確認します。
2024年6月18日の犯罪対策閣僚会議において、犯収法と携帯電話不正利用防止法に基づく非対面(オンライン)の本人確認を、マイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス(JPKI)に原則一本化する方針が決定されました。対面での本人確認についても、マイナンバーカードや運転免許証などのICチップ読み取りが原則義務づけられる方向です。
これを受けた改正犯罪収益移転防止法施行規則(令和7年〔2025年〕6月24日公布)により、本人確認方法の厳格化が段階的に進められ、2027年4月1日に全面施行される予定です。改正後は、本人確認書類の画像と顔写真(自撮り)を送信するだけの方法(いわゆる「ホ方式」)や、書類の写しの送付による方法は原則として廃止され、ICチップの読み取りを伴う方式へ移行します。その中心となるのが、マイナンバーカードのJPKI(従来「ワ方式」と呼ばれてきた方法)です。
なお、運転免許証などのICチップを読み取り、あわせて顔写真で確認する方法も残る見込みで、非対面の本人確認は「ICチップの読み取りを前提とした厳格な方法」へと原則的に一本化されていきます。あわせて、対面取引についても、マイナンバーカードや運転免許証のICチップ読み取りを軸とした本人確認の厳格化が求められる方向です。保険会社をはじめ、現在ICチップを使わない画像送信型のeKYCを採用している特定事業者は、ICチップを読み取る方式への移行を計画的に進める必要があります。
なお、利用者がマイナンバーカードを読み取る際に使う公式アプリの整備も進んでいます。デジタル庁は2024年に「デジタル認証アプリ」を無償で提供し、2026年夏を目処に、これをマイナポータルアプリと統合して「マイナアプリ」へ一本化する方針を示しています。事業者は、こうした公式アプリを本人確認の入口として活用しながら、自社の申込フローを設計していくことになります。
参考:
デジタル庁|犯罪対策閣僚会議「国民を詐欺から守るための総合対策」のとりまとめについて(2024年6月)
金融庁|犯罪収益移転防止法におけるオンラインで完結可能な本人確認方法の概要
金融庁|「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」の公布等及びパブリックコメントの結果等について
▼犯収法のJPKI一本化と事業者の対応策については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
犯収法上のオンライン本人確認がJPKIに原則一本化へ! 企業の対応策は
本人確認の主流はJPKIへ!犯収法「ワ方式」「ホ方式」の現在地
保険業界がJPKIを活用する3つのメリット
法改正への対応という「守り」の側面だけでなく、JPKIの活用は保険会社にとって業務改善の「攻め」の手段にもなります。主なメリットは次の3点です。
1点目は、券面の偽造対策と高い認証強度です。JPKIはマイナンバーカードのICチップ内の電子証明書を用い、利用者本人しか知らない暗証番号で認証するため、目視に頼らずなりすましを防げます。市区町村窓口での厳格な本人確認を経て発行された電子証明書を使う点も、信頼性の高さにつながります。
2点目は、申込情報の正確な取得です。JPKIでは、氏名・住所などの基本情報を券面の手入力に頼らず取得できるため、表記の揺れや入力ミスを防ぎ、正確な顧客情報を登録できます。地震保険のように住所情報の正確さが保険金支払いに直結する商品では、特に大きな価値があります。
3点目は、顧客体験の向上です。マイナンバーカードをスマートフォンにかざして暗証番号を入力するだけで本人確認が完了するため、書類の撮影や郵送が不要になり、手続き途中の離脱を抑えられます。読み取りから完了まで数秒で済む手軽さは、デジタルチャネルでの新規契約獲得にも寄与します。
契約後も効く「最新4情報提供サービス」で顧客情報を最新化
JPKIの価値は契約時の本人確認にとどまりません。契約後の顧客情報の最新化にも活用できる点が、保険業界にとって見逃せないポイントです。
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は、2023年5月から最新の基本4情報を提供するサービスを開始しています。これは、あらかじめ顧客の同意を得たうえで、氏名・住所・生年月日・性別といった基本4情報に変更があった際に、最新の情報を署名検証者(本人確認を行う事業者や行政機関)へ提供する仕組みです。
保険業界では、引越しや結婚による改姓があっても保険の変更手続きが漏れ・遅れがちで、契約情報が実態と食い違うケースが課題でした。最新の基本4情報提供サービスを活用すれば、あらかじめ本人の同意など所定の手続きを行ったうえで、顧客が住民票の情報を更新した際に保険会社側が変更を把握でき、契約情報を最新化しやすくなります。これは、有事の際に正確な情報をもとに円滑に保険金を支払うことにもつながります。
実際に、東京海上日動火災保険株式会社では、当社のサービスを活用し、契約者の住所確認をオンライン化する取り組みを進めています。従来は郵送で行っていた住所確認の業務を効率化し、送付にかかるコストの削減にも寄与しています。最新の基本4情報を活用することで、住所情報の更新をより迅速かつ正確に行えるようになります。
参考:
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)|公的個人認証サービス
デジタル庁・総務省|公的個人認証サービス利用のための民間事業者向けガイドライン
保険の本人確認なら「PocketSign Platform」

犯収法改正によるJPKI一本化に対応するうえで、まず押さえておきたいのが、本人確認は「入口」と「裏側」で役割が分かれるという点です。
マイナンバーカードの読み取りと電子署名を行う「入口」は、デジタル庁が無償で提供する公式アプリが担います。2024年に提供が始まった「デジタル認証アプリ」は、2026年夏を目処にマイナポータルアプリと統合され、「マイナアプリ」へ一本化される予定です。利用者はこの公式アプリでカードを読み取るため、保険会社が利用者向けの読み取りアプリを自前で用意する必要はありません。
一方で、受け取った電子証明書が本物で失効していないかを確かめる「署名検証・有効性確認」の裏側は、デジタル庁では行われません。これは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の失効情報を扱える「プラットフォーム事業者」が担う領域です。ここを引き受けるのが、ポケットサイン株式会社が提供する開発プラットフォーム「PocketSign Platform(ポケットサイン・プラットフォーム)」です。当社は公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けたプラットフォーム事業者として、JPKIを活用した本人確認サービスを提供しています。
特徴1:公式アプリと組み合わせ、自社アプリの有無を問わず導入できる
PocketSign Platformは、マイナアプリなどの公式アプリを入口に使い、その裏側の署名検証・有効性確認を担います。自社アプリを持つ保険会社は、検証API・SDKを提供する「PocketSign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)」を自社アプリに組み込めます。自社アプリを持たず、Webで本人確認を完結したい場合も、利用者は公式アプリで読み取り、当社が裏側の検証を引き受けるため、新たなアプリ開発をせずにWebの申込フローへJPKIによる本人確認を組み込めます。
特徴2:契約後も効く「4情報の最新化」まで対応
PocketSign Platformは、契約時の本人確認だけでなく、契約後の顧客情報の最新化にも対応します。利用者の同意のもと、氏名・住所・生年月日・性別に変更があった際に最新の情報を取得できるため、引越しや改姓による契約情報のズレを防げます。住所などの情報が支払いに直結する保険商品では、有事の際に迅速な保険金支払いを実現するという形で価値を発揮します。
特徴3:大臣認定事業者ならではの安心と、開発のしやすさ
当社は主務大臣認定のプラットフォーム事業者であり、情報セキュリティ(ISO/IEC 27001)、クラウドセキュリティ(ISO/IEC 27017)、プライバシー情報管理(ISO/IEC 27701)の国際規格認証も取得しています。あわせて、J-LIS環境を再現したサンドボックスを即日提供し、ドキュメントやSlackでの開発サポートを用意するなど、導入をスムーズに進められる体制を整えています。料金も使った分に応じたシンプルな体系で、画像送信型からの計画的な移行を支援します。
▼関連情報・カタログ
導入事例一覧:https://pocketsign.co.jp/casestudy
ポケットサインについて:https://pocketsign.co.jp/
保険事業者向けに無料相談を受付中
ポケットサイン株式会社はマイナンバーカードの普及促進と活用拡大に注力しており、保険会社をはじめとする民間企業や自治体との積極的な協業・DXの支援を推進しています。犯収法改正への対応や、オンライン本人確認による手続きの効率化・顧客情報の正確な管理でお悩みの際は、マイナンバーカードを活用した実践的なソリューションをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。
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本人確認の厳格化に向けた法改正が進むなか、鍵となるのが「公的個人認証」の活用です。
・不正申込・なりすましを防止したい
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マーケティングチーム
中西 健太
ポケットサイン株式会社のマーケティング担当として、マイナ活用.comのコンテンツ制作などに従事しています。








