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マネロン対策で本人確認厳格化…不動産取引めぐる犯収法対応が急務に 

2026-08-06

不動産取引をめぐるマネーロンダリング(マネロン=資金洗浄)や疑わしい取引の届け出をめぐる規制強化が進められています。2025年10月に大手企業のほか中小事業者で構成する不動産業6団体が、犯罪収益移転防止法(犯収法)の順守徹底を申し合わせ、各社に取引時確認(本人確認など)や疑わしい取引の届け出、統括管理者の選任などを求めました。そして2026年6月には申し合わせを改定し、対策を急いでいます。

背景には、国際機関から宅地建物取引業業界のマネロン対策の遅れが指摘され、国土交通省や警察庁から是正を強く要請されているという事情があります。ただ、対面や書類の目視に頼る従来の本人確認は、なりすましや偽造書類を見抜きにくいうえ、確認記録の作成・保存も現場の負担となっています。本記事では犯収法が求める本人確認義務の要点を整理し、公的個人認証サービス(JPKI)*で確実な本人確認を実現する方法を紹介します。

*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure):マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に認証する仕組みのこと。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長

目次

業界団体が措置徹底を呼びかけ

2025年10月、全国宅地建物取引業協会連合会など不動産業6団体が、犯罪収益移転防止法(犯収法)の順守徹底を申し合わせました。その要旨は次のとおりです。

  • 犯収法の啓発:会員企業向けに年1回以上、同法に関する研修を行う

  • 反社会的勢力データベース(DB)の活用

  • 体制整備:統括管理者の選任

  • 疑わしい取引の届け出の支援

・参考:不動産業における犯罪収益移転防止法等に関する連絡協議会の資料

これらは、いずれも取引時の確実な本人確認と疑わしい取引の行政機関への届け出が適切に行われるために必要なことです。そして2026年6月22日にはこの申し合わせが改定され、マネーロンダリング対策に関する「リスク評価書」の作成が追加されました。業界団体は各会員企業に、2026年度中にリスク評価書の作成を完了させるよう働きかけることとなりました。

マネロンのリスク評価書とは、宅地建物取引業者が犯収法や国土交通省のガイドラインに基づき、顧客属性や取引が関連する国・地域についてマネロン、テロ資金供与、拡散金融のリスクを分析、評価し文書化したものです。

評価結果は総括表としてまとめ、過去の疑わしい取引の届出実績のほか、自社の営業エリアと顧客層の特性を加味しながらリスクに応じた低減措置(本人確認の強化、追加資料の請求など)を定めます。

また、リスク評価書は作成して終わりではなく、年1回の定期的な見直しが求められます。

なぜ不動産業界はこのような厳格な措置を求められるのでしょうか。犯収法はマネロン対策や本人確認の強化の対象となる取引を行う業種を特定事業者として規定しています(下図)。

実際、宅地建物取引業者が取り扱う不動産は財産的価値が高く、多額の資金との交換が可能なため、特に現金取引の場合はマネロンに悪用される危険性があります。また、不動産は金融資産の保全や投資を目的として購入されるケースも多く、国内外の組織が犯罪による収益の形態を変換する目的で不動産取引を行う恐れも指摘されています。

確実な本人確認が一丁目一番地

このような犯収法対応の基本となるのが取引時確認です。取引時確認は本人特定事項(氏名、住所、生年月日)と取引を行う目的を確認することです。

そして特に重要なのが本人確認(本人特定事項の確認)の強化です。警察庁は危険度が高い取引形態として「非対面取引」「現金取引」「外国との取引」を挙げています。そのうえで、匿名または架空名義・借名・偽名(その疑いがあるものを含む)による取引はさらに危険度が高まると指摘しており、なりすましと偽名リスクが核心的な懸念であることが読み取れます。

・参照:国家公安委員会「犯罪収益移転危険度調査書」

このため政府は、本人確認手法の抜本的な見直しを進めています。特にインパクトが大きいのが、従来主流だった本人確認書類の「券面確認」が認められなくなる点です。顔写真がない健康保険証は既に多くの場面で「本人確認」に使えなくなっていますが、今後は運転免許証など顔写真付きの本人確認書類でも、コピーや画像は通用しなくなります。

券面確認に取って代わるのが、マイナンバーカードや運転免許証などに埋め込まれているICチップをカードリーダーで読み取る方式です。

  • 2026年4月(携帯電話不正利用防止法):非対面での携帯電話の契約(オンライン契約)においてICチップの読み取りなどが義務化

  • 2027年4月(犯収法):特定取引*を対象に、非対面(オンライン)取引だけでなく対面取引においても、ICチップの読み取りを原則義務付け

*特定取引:犯収法では、特定事業者(前章の図を参照)が行う業務の全てが取引時確認(本人確認、目的確認など)義務の対象となるわけではなく、特定の業務だけが義務の対象となる。例えば宅地建物取引業者では宅地建物の売買契約の締結やその代理、媒介(仲介)が特定取引に該当するが、宅地建物の賃貸にかかる媒介業務は対象外となる

では、なぜICチップの読み取りによる本人確認は、より厳密な本人確認を実施できるのでしょうか。マイナンバーカードのICチップを例に説明します。

まず、マイナンバーカードを用いた本人確認方法の多くは公的個人認証サービス(JPKI)を活用しますが、JPKIはマイナンバーカードをスマートフォンやICカードリーダーにかざすだけで、厳格な本人確認が可能になります。また、スマートフォンにマイナンバーカードを登録していれば、マイナンバーカードのかざし自体も不要になるという高い利便性があります。

次にJPKIが厳格な本人確認が可能な理由です。それはマイナンバーカードのICチップにあります。マイナンバーカードのICチップは耐タンパー性*を備えているため、偽造や不正なアクセスはほぼ不可能とされています。その堅牢なICチップ内に、本人確認で必要となる電子証明書が格納されているのです(下図 / APはアプリケーションの略)。

* ICチップ自身が備える偽造・不正防止策のこと。例えば無理に情報を読み取ろうとすると、ICチップのメモリの内容が自動的に消去されるといった対策が講じられている

なおかつマイナンバーカードの電子証明書は、市町村の窓口において厳格な対面による本人確認を経て発行されますので、二重にセキュリティーが担保されていると言えます。

・参考記事:マイナンバーカードとは?制度の仕組みや安全性・今後の展望をわかりやすく解説マイナ活用.com/2025年11月14日公開)

なお、メガバンク3行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)は2027年4月の改正犯収法の施行を待たずに、2026年度中に本人確認書類の「券面確認」を取りやめ、ICチップ読み取りに移行します。国際的な取引に関与する大手金融機関はマネロン対策への感度も高いようです。

ICチップ読み取りが主流へ

では、不動産取引の現場における本人確認はどう変わっていくのでしょうか。現在は対面取引の場合、以下の方法に依拠しています。

  1. 顔写真付き本人確認書類の原本提示

  2. 顔写真なし本人確認書類の原本提示 + 転送不要郵便の送付

  3. 顔写真なし本人確認書類2つ(別のもの)の原本提示

③は、健康保険の資格確認書や介護保険の被保険者証、児童扶養手当証書、母子健康手帳、国民年金手帳、印鑑登録証明書などが認められます。つまり、写真付き本人確認書類がなくても犯収法上はOKなのです。

これが2027年4月からは次のようになります。

  1. ICチップおよび顔写真付き本人確認書類の提示 + ICチップ読み取り
    (運転免許証、マイナンバーカード、在留カード、旅券等)

  2. 顔写真付き本人確認書類(ICチップなし)の原本提示 + 転送不要郵便の送付

  3. 顔写真なし本人確認書類(ICチップあり)の原本提示 + ICチップ読み取り

  4. 顔写真なし本人確認書類(ICチップありまたは偽造・改ざん対策あり)の原本提示 + 転送不要郵便の送付

・参考:不動産業におけるマネーロンダリング対策の徹底について【犯収法に基づく本人確認方法の変更等について】(国土交通省)

印鑑登録証明書は偽造防止の観点から「本人確認書類」から除外され、2種類の顔写真なし本人確認書類の提示も廃止されます。

ICチップを内蔵した顔写真付き本人確認書類を持たない人への配慮として②③④が認められていますが、ICチップ読み取りが主流となっていくことが分かります。前章でみたICチップ(マイナンバーカード)のセキュリティの堅牢性と利便性の高さに鑑みれば自然な流れと言えるでしょう。

マイナンバーカード活用ならポケットサイン

以上に見てきたとおり、犯収法への対応は特定事業者が果たすべき義務であり、特に遅れが名指しで指摘されている宅地建物取引業界は待ったなしです。ただ、DXが他業種と比較して浸透していないとされる不動産事業者が自前でネイティブアプリを公的個人認証(JPKI)対応にする場合、ICチップ読み取り機能の実装に加え、テスト用マイナンバーカードの手配や検証に多大な時間と労力を要します。

そこで自社開発よりもはるかに容易にJPKIを導入できるようにするのが、ポケットサインのAPIサービス「PocketSign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)」です(下図)。

PocketSign Verifyでは証明書を用いたデジタル署名の検証を行うAPIと、マイナンバーカードと通信して署名の生成や証明書の吸い出しを行うSDK(ソフトウェア開発キット)を利用できます。

PocketSign Verifyは、犯収法で規定する全ての本人確認方式に対応可能です。

なお、JPKIを他者に提供するには、公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けて「プラットフォーム事業者」になる必要があります。当社は2023年3月に民間事業者としては16社目となるプラットフォーム事業者認定を取得しています。さらに、PocketSign Verifyは、マイナンバーカードを使わずにスマートフォンのみで公的個人認証サービス(JPKI)を利用できる「スマホJPKI」への対応を完了しています。

・参考:PocketSign VerifyがiOSの「スマホJPKI」に対応(2025年6月24日付プレスリリース)

・PocketSign Verifyについて:https://pocketsign.co.jp/service/pocketsignplatform#verify

マイナンバーカードのご活用に関する事柄は、ぜひ実績豊富な当社にご相談ください。

▼問い合わせはこちらから
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▼ポケットサインについてはこちら
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本人確認の厳格化に向けた法改正が進むなか、鍵となるのが「公的個人認証」の活用です。

・不正申込・なりすましを防止したい
・自社サービスの本人確認をより厳格にしたい
・最新の公的個人認証の仕組みを知りたい

このような課題をお持ちの方は、ぜひ資料をご覧ください。
「ポケットサイン」のサービス資料で、
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マーケティングチーム

南 昇平

新聞記者、Saasスタートアップ広報を経て大手IT企業広報。マイナンバーカードやJPKIに関するニュースを分かりやすくお伝えします。

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