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採用の信頼性向上策はリファレンスチェックだけ!?|経歴・職歴調査の最新事情 

2026-09-03

採用選考の一環で「リファレンスチェック」を導入する企業が増えています。候補者(求職者)の前職・前々職の上司や同僚に働きぶりをヒアリングし、書類や面接だけでは見えない人物像を把握できる点が特長です。一方で、調査会社に職歴・経歴の確認を依頼する従来型の「前職調査」や、公的データを使って在籍・職歴・年収という客観的事実を照合する新しい手法もあり、それぞれコストや客観性、網羅性が異なります。本記事ではリファレンスチェックと公的データ照合という各手法を比較し、人物評価はリファレンスチェックが、在籍・職歴・年収といった事実確認は公的データ照合が適しているという役割分担と、両者を組み合わせる有効性について解説します。

・参考記事:バックグラウンドチェック最前線|経歴・職歴調査の最適解は(マイナ活用.com、2026年7月31日公開)

目次

リファレンスチェックとは

企業の採用活動(主に中途採用)において、候補者(求職者)の前職調査や職歴確認・経歴確認は今や欠かすことができないプロセスとなっています。履歴書や職務経歴書の自己申告内容を信じて客観的な確認を試みないことのリスクが高まっているためです。

その方法は大きく分けて2つあります。1つが、前職について調査する前職調査・経歴調査(バックグラウンドチェック)、もう1つは候補者の前職の元同僚にヒアリングを行う「リファレンスチェック」です。いずれも自社で行うのはハードルが高く、様々な事業者が専門サービスを提供しています。

候補者がヒアリング対象を指定

リファレンスチェックとは、候補者と実際に一緒に働いた経験を持つ第三者、つまり前職・現職の上司や同僚に直接ヒアリングを行う手法です。候補者の仕事ぶりや実績、対人関係の築き方などを直接聴くことで、書類選考や面接だけでは見えにくい情報を補うのが目的と言えるでしょう。

大きな特徴は、ヒアリング対象者を候補者本人が指定するという点です。企業側が独自に関係者を探し出して接触する前職調査とは異なり、候補者が「この人なら自分の働きぶりを話してもらえる」と考える推薦者をあらかじめ選び、その人に企業が問い合わせる形です。このプロセスを経ることで、候補者の同意を前提とした透明性の高い確認が可能になります。

リファレンスチェックはもともと、欧米の企業では一般的な選考プロセスとして定着してきた手法です。日本では長らく普及していませんでしたが、新型コロナウイルス禍でオンラインでの面接が主流になったことで急速に注目を集めるようになりました。オンライン面接は対面よりも候補者の人柄や実務能力を見極めにくいという評価があったためです。

実際、採用担当者を対象にした調査では、リファレンスチェックを導入している企業の割合は27%に上り、候補者の経歴・職歴を確認する手段は「面接のみ」とする割合(20%)を上回りました(下グラフ)。


(当社調べ。2026年5月、企業の採用担当者約300人と求職者約200人を対象に実施)

ヒアリングで確認できること

リファレンスチェックのヒアリングでは、主に以下のような内容が扱われます。

  • 過去の職務内容や実際に上げた成果

  • チーム内での役割や対人関係の築き方

  • 強み・弱みとして周囲からどう見られていたか

  • 退職に至った経緯や背景

  • 組織文化やマネジメントスタイルへの適応度

これらはいわば、候補者からの自己申告だけでは裏付けが取りにくい「働きぶりの評判」に近い情報です。応募書類は今や生成AIで簡単に〝お化粧〟ができる時代で、面接対策も進化しています。面接での受け答えだけでは判断しづらい、入社後の再現性のあるパフォーマンスを見極める材料としてリファレンスチェックが活用されています。

経歴調査・職歴調査との違い

事実そのものの証明ではない

中途採用の選考プロセスには前職調査や経歴・職歴調査(いわゆるバックグラウンドチェック)もあり、リファレンスチェックと混同されがちですが、性質は異なります。これらは採用企業や調査会社が自らの判断で前職の関係者に接触し、勤務状況や退職理由などを調べる手法で、ヒアリングや照会の対象者を選ぶ主体は企業側にあります。

これに対してリファレンスチェックは前述のとおり候補者が推薦者を選ぶため、得られる情報はどうしても候補者に好意的な内容に寄りやすい側面があります。

ただ、いずれの手法も候補者の関係者による「主観的な評価」を情報源とする点は共通しています。勤務先や在籍期間といった客観的事実そのものを直接証明するものではない、という限界も通底するものです。

実施にあたっての注意点

ただ、経歴・職歴調査やリファレンスチェックは何でも調べることが許されるわけではなく、度が過ぎると複数の法令に抵触する恐れがあります。こうした調査で得られる情報は個人情報にあたるため、実施前に候補者本人から書面で同意を取得することが前提になります。同意なく関係者への問い合わせを行えば、個人情報保護法上のリスクを抱えることになるのです。

以下に例示します。

  • 職業安定法5条に基づく厚生労働省の行政指導指針*:人種や民族、社会的身分、本籍や出生地、思想・信条、労働組合への加入状況などの情報を収集してはならないと規定。親の勤務先や学歴、家族の収入、尊敬する人物を聞くことも不適切とされる

  • 労働基準法22条:企業が就職妨害のため労働者の組合活動歴などの情報を秘密裏に交換することを禁止

  • 以前の勤務先に在籍確認を求めることは、個人情報保護法では個人データの「第三者提供」となり、本人の同意が必須

* 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針の「第五」を参照(P.7)

また、リファレンスチェックの結果だけを理由に内定を取り消すことは、労働契約法上の「解雇権濫用」とみなされ、無効になる可能性が高い点にも注意が必要です。内定通知前、遅くとも合否を出す前の段階で実施し、結果は「合否判断の参考材料の一つ」として扱うのが実務上の基本的な姿勢になります。

加えて、推薦者は候補者自身が選ぶため、意図的にせよ無意識にせよ、候補者に好意的な人物ばかりが選ばれやすいというバイアスの存在は避けられません。実施から結果が出るまでには数日から1週間程度を要するのが一般的で、対象者との日程調整に時間がかかることもあります。人物面の解像度を上げるには有効な手法である一方、「在籍していた事実」そのものの証明力という点では別の手段で補う必要があります。

公的データで在籍歴や年収を照合する新選択肢

そこで、在籍先・在籍期間・前年の所得額といった経歴・職歴に関する客観的な事実そのものを公的データに基づいて照合する仕組みが登場しました。候補者本人の同意を得たうえで、マイナンバーカードを利用して行います。マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を用いる公的個人認証サービス(JPKI)*が活用されるのです。

*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure):マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことを公的に認証する仕組みのこと。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長

では、マイナンバーカードによる「公的データ」を活用した経歴・職歴確認の仕組みを解説していきます。まず、公的データはデジタル庁が運営するマイナポータルAPIを利用して取得します。

マイナポータルは、政府が運営する国民一人ひとり専用のオンライン窓口です。多くの方がスマートフォンアプリやWebサイトでアクセスしたことがあるのではないでしょうか。

・マイナポータル:https://myna.go.jp/

このマイナポータルに接続するAPIが整備されたことで、私たちが普段使っている民間のWebサービス(人事労務ソフト、健康管理アプリ、金融サービスなど)が、本人の同意の下でマイナポータルと連携できるようになりました。

・参考:マイナポータルAPIとは(デジタル庁)

マイナポータルAPIを活用すると、各個人は次のような自己情報を取得できます。

  • 自己情報(自己情報取得API)

    税・所得情報:住民税の課税情報など、公的に証明された所得情報

    雇用保険の加入履歴:客観的な「職歴」の証明となる情報

    年金情報:年金加入記録や将来の受給見込み額が分かる

    子ども・子育て:自治体の手続きに関連する情報

  • 医療保険情報(医療保険情報取得API)

    過去の診療情報、処方された薬剤情報、特定健診の結果、医療費通知情報などを取得し、健康管理アプリなどで一元管理できます

  • PMH情報(PMH情報連携API)

    予防接種の履歴や、乳幼児健診の結果などを取得できます

  • お知らせ情報および民間送達サービス保有情報(お知らせ情報取得・民間送達サービス保有情報取得API)

    ・行政から届く「お知らせ」を取得できます
    ・インターネット上の自分専用のポストである「民間送達サービス」に生命保険会社などから届いた控除証明書等をオンラインで取得することで、確定申告がスムーズになります

なお、これらのAPIを利用するためには、利用者がマイナポータルにおける利用者登録を完了している必要があります。医療保険情報取得APIとPMH情報連携APIの利用には、マイナポータルAPIにて提供している利用者登録等API*の併用が必須となっています。

*利用者登録等API:https://myna.go.jp/html/api/userregistration/index.html

つまり、候補者本人が同意したうえで、自己情報取得APIで雇用保険の加入履歴や税・所得の情報を取得し、選考中の企業に提供するという流れになります。マイナポータルAPIから得られる情報は行政機関が保有する真正な情報ですから、候補者が虚偽の職歴や年収を申告したとしても、企業側はすぐに真偽を確かめることができます。

「ジョブトラスト」との組み合わせが最適解

当社ポケットサインは、マイナポータルAPIを活用して企業が公的データからスピーディーに信頼できる職歴および年収に関する情報を取得(候補者の同意が前提)できる採用支援サービス「ジョブトラスト」の提供を2026年に開始しました。

・ジョブトラストの詳細はこちら

仕組み:本人が取得し、本人が同意して開示する

ジョブトラストの特徴は、「企業が調べる」のではなく「候補者本人が自分のデータを取得し、開示に同意する」という設計にあります。

  1. 企業が候補者に専用URLを送付する(企業側の作業は数十秒程度)

  2. 候補者がスマートフォンとマイナンバーカードを使い、マイナポータル経由で雇用保険の加入履歴や前年の所得情報を取得する(1〜2分程度)

  3. 候補者が開示に同意した情報のみが企業に共有され、企業は管理画面上で最短数分のうちに申告内容との照合結果を確認する

採用担当者は前職企業への電話やメールでの在籍確認が不要になるため、候補者の転職活動が前職に伝わってしまうリスクを避けられる点もメリットです。なお、取り扱うのはマイナンバーカードの電子証明書のみで、12桁のマイナンバー(個人番号)自体を企業やポケットサインが取得することはありません。

確認できること・できないこと

ジョブトラストで照合できるのは、あくまで公的データに基づく客観的な事実です。

  • 雇用保険の加入履歴

  • つまり、どの企業にいつからいつまで在籍していたか

  • 前年度の所得額

一方で、働きぶりや人柄、組織文化への適応度といった定性的な評価は対象に含まれません。この点はリファレンスチェックと明確に役割が分かれる部分であり、「在籍・年収の事実確認」と「人物評価」はそれぞれ別の手段で補完し合う関係にあると言えます。

リファレンスチェック・従来型の前職調査との比較

3つの手法を並べると、それぞれの得意領域の違いが分かりやすくなります。

比較の観点

前職調査(調査会社)

リファレンスチェック

ジョブトラスト

主体となる事業者

民間調査会社

専門の民間サービス会社

JPKIに関する国の認定を受けた事業者

得られる情報の性質

調査員が独自に収集した情報

関係者の主観に基づく評価

公的機関が保有する客観的な事実データ

候補者本人のかかわり方

別途、同意取得の手続きが必要

自ら推薦者を選定する

自らデータを取得し開示に同意する

結果が出るまでの目安

数日〜数週間

数日〜1週間程度

最短数分

前職への接触

生じる可能性あり

推薦者への依頼という形で生じる

基本的に発生しない

主に把握できる内容

調査範囲は広いが費用もかさむ

人柄・働きぶりなどの定性面

在籍先・在籍期間・前年所得という客観的事実

前職調査やリファレンスチェックが「人」を介して情報を集めるのに対し、ジョブトラストは公的データという「記録」を照合する点が本質的な違いです。そのぶん所要時間が短く、前職に転職活動を知られる心配もありません。

両者を組み合わせる意味

ここまで見てきたように、リファレンスチェックとジョブトラストは競合する手法ではなく、確認したい情報の種類が異なる補完関係にあります。

  • 人物評価をしたい場面
    → リファレンスチェックで、働きぶりや組織文化との相性、退職理由の背景などを関係者の視点から把握する

  • 申告内容の裏付けを取りたい場面
    → ジョブトラストで、在籍先・在籍期間・前年年収という事実を短時間で照合する

例えば、書類選考の段階でジョブトラストによって職歴・年収の基本的な事実を確認しておき、選考後半でリファレンスチェックによって人物面を深掘りするという流れを組めば、採用担当者の負担を抑えつつ、確認の解像度を高め作業効率が大きく向上します。

自己申告に頼らざるを得なかった従来の選考プロセスに、事実確認と人物評価という2つの軸を組み込むことが、これからの採用リスク管理の現実的な選択肢になっていくはずです。

なお、ポケットサインはJPKIのプラットフォーム事業者*として主務大臣認定を取得済みです。

*プラットフォーム事業者(PF事業者):マイナンバーカード等の電子証明書の有効性確認機能を、民間事業者向けのサービスとして提供可能な民間事業者。公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受ける必要がある。当社は2023年3月に民間事業者としては16社目となる認定を受けた

また、ポケットサインは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である ISO/IEC 27001(ISMS)、ISO/IEC 27017(クラウドセキュリティ)、ISO/IEC 27701(プライバシー情報管理)を取得済みです(上図)。企業や求職者の情報を安全に取り扱うための国際水準の体制を構築しています。

マイナンバーカード活用ならポケットサイン

以上みてきたとおり、マイナンバーカードは私たちの生活を便利にし、行政サービスや企業サービスがオンラインで円滑に普及するうえで大きなカギを握っています。民間事業者が自社アプリやWebサービスをマイナンバーカードに対応(JPKIなど)させることは急務と言えます。

本記事で取り上げた経歴調査・職歴調査についても、調査内容の正確さと企業・候補者双方のUI/UX改善にはマイナンバーカードの活用が必要不可欠です。

ただ、自社でマイナンバーカードの活用に対応したネイティブアプリを開発する場合、ICチップ読み取り機能の実装に加え、テスト用マイナンバーカードの手配や検証に多大な時間とリソースを要します。

そうした事業者のお役に立つのが、当社ポケットサインの「ジョブトラスト」なのです。採用にまつわる確認業務がワンストップで、数分で完結します。

・ジョブトラストの詳細はこちら:https://go.pocketsign.co.jp/full-check

マイナンバーカードの活用に際してはぜひ実績豊富な当社にご相談ください。

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マーケティングチーム

南 昇平

新聞記者、Saasスタートアップ広報を経て大手IT企業広報。マイナンバーカードやJPKIに関するニュースを分かりやすくお伝えします。

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