総務省消防庁が推進するシステム「マイナ救急」がいよいよ2025年10月1日に全国の地方自治体で一斉にスタートします。マイナ救急とはマイナンバーカードを健康保険証として利用登録することで、救急隊員が傷病者の医療情報を迅速に閲覧できるようにする取り組みです。これにより急患への適切な応急処置や搬送先の円滑な選定が進むと期待されています。マイナンバーカードの活用シーンが徐々に広がる中、救急の現場や医療行政はどう変わるのか。本記事でまとめてみました。・関連記事:保険証12月2日廃止、マイナ免許証も来春登場!「マイナ保険証」の要点を徹底解説(マイナ活用.com/2024年10月21日公開)目次正確な医療情報を隊員が迅速に把握「マイナ救急」は救急隊員が傷病者のマイナ保険証(健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカード)を活用して医療情報を把握し、搬送先となる病院の選定や応急措置に役立てる取り組みです。総務省消防庁が2022年度(令和4年度)と2024年度(令和6年度)に一部地域で実証事業を行いました。2024年度は全国の67消防本部、660隊で約2カ月間の実証を行い、マイナ保険証を利用して傷病者の情報を閲覧した件数は1万1398件に上りました。・参考:マイナ保険証を活用した救急業務の円滑化に係る令和7年度実証事業実施消防本部の決定及び令和6年度実証事業における活用事例のP.2(総務省)以後、段階的に実施範囲を拡大しており、2025年10月1日には全国すべての救急隊で対応する予定です。↑ 総務省消防庁・あなたの命を守る「マイナ救急」より具体的には、傷病者やその家族から隊員が傷病者のマイナンバーカードを受け取ってカードリーダーにかざし、タブレット端末で次のような情報を閲覧します。かかりつけ医療機関服用中の薬過去の診療情報特定健診の結果通常、隊員は傷病者本人や家族から氏名、生年月日、かかりつけ医療機関、持病の有無、服用中の薬などを聞き取らなければなりません。しかし、病気やケガで苦しんでいる本人や気が動転している家族から正確に聞き出すことが困難なケースがあるのも事実です。マイナ救急はこうした課題を解決し、情報伝達の正確性が向上します。なお、隊員が情報を閲覧するには、傷病者から口頭での同意を得ることが必要です。ただ、生命・身体の保護の必要性があるにもかかわらず意識不明等の理由で本人の同意を得ることが困難な場合に限り、同意なしでの閲覧が可能とされています(個人情報保護法の規定に依る)。この結果、適切な応急措置をすぐにできるようになる場面が多くなるほか、病院に搬送受け入れを依頼する際の折衝がスムーズになります。また、受け入れ先の病院にもメリットがあります。病院に到着する前に傷病者の詳細な医療情報が共有されるため、すぐに治療を始めるための事前準備が可能となるのです。個人番号は不使用でプライバシーに配慮ここで、マイナンバーカードの利用に対してプライバシー保護に対する懸念が頭をよぎる方もいるかもしれません。救急車を呼ぶという非常時であればなおさらです。その点、マイナ救急では配慮がなされています。まず、救急隊員が閲覧できるのは、氏名や住所、年齢等の券面情報と受診歴や薬剤情報などの医療情報に限定されます。税や年金など救急活動に関係のない個人情報は閲覧できない仕組みになっています。また、マイナ救急では12桁のマイナンバー(個人番号)自体を使用しません。そして、他のマイナンバーカードの活用場面と異なるのが、暗証番号が原則として不要である点です。救急隊員は傷病者の顔とマイナンバーカードの券面上の写真とを視認して本人確認を行うため、原則としてマイナンバーカードの暗証番号の入力は要しません。これにより、救急対応時の迅速な情報アクセスを可能にし、暗証番号が万が一悪用されるリスクを低減しています。↑(再掲)総務省消防庁・あなたの命を守る「マイナ救急」よりそして、そもそもマイナンバーカードのICチップには、税や年金、病歴といったプライバシー性が高い情報は記録されていません。前章の図で説明してあるとおり、救急隊員は専用端末から「オンライン資格等確認システム*」へアクセスして医療情報を閲覧します。この点でも、プライバシーは保たれると言えるでしょう。* 医療機関等の窓口でマイナンバーカードのICまたは健康保険証の記号番号によりオンラインで資格情報(保険診療を受診するために必要な健康保険組合への加入情報)を確認できる仕組みなお、マイナンバーカードのICチップは耐タンパー性*を備えているため、偽造や不正なアクセスはほぼ不可能とされています(下図)。*耐タンパー性:ICチップ自身が備える偽造・不正防止策のこと。例えば無理に情報を読み取ろうとすると、ICチップのメモリの内容が消去されるといった対策がある(公的個人認証サービス利用のための民間事業者向けガイドライン(第1.4版)より)また、マイナンバーカードを紛失したり盗難にあったりした場合、カードの一時利用停止と再発行の手続きが必要になります。そうした速やかな再発行が必要な場合はマイナンバーカードの発行主体であるJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)の「特急発行・工夫制度」を利用すると、申請から原則1週間で申請者の自宅にカードが届けられます。・参考:J-LISの特急発行・交付制度2024年度までの実証事業で多くの実績マイナ救急の概要が理解できたところで、2024年度(令和6年度)に一部地域で行われた実証事業の活用事例をみてみましょう。総務省が2025年2月に公表した「マイナ保険証を活用した救急業務の円滑化に係る令和7年度実証事業実施消防本部の決定及び令和6年度実証事業における活用事例」から抜粋して紹介します。意思疎通が困難でも適切に搬送実家に帰省中でお薬手帳を携行していなかった事例・50歳代女性が実家で食事中に意識を失い、床に倒れこんだ。女性は精神疾患で薬が処方されていたがお薬手帳を所持していなかった・救急隊は女性が飲んでいる薬が分からない状況だったが、マイナ保険証から薬剤情報を確認し、円滑に搬送先を選定できた意識がもうろうとし意思疎通が困難だった事例・70歳代男性が意識がもうろうとし、足がふらつく状態に。救急隊到着時に男性は意思疎通が困難だった・救急隊はマイナ保険証から薬剤情報を閲覧・消化管出血による貧血を疑い、緊急内視鏡手術と緊急輸血が可能な医療機関を選定し搬送した救急隊や病院も歓迎現場到着時に高齢の夫婦のみで聴取が困難だったが、マイナ保険証から必要な情報を得られた外出先で事故に遭い、お薬手帳を携行していなかった傷病者の薬剤情報が分かった意識障害で情報把握が困難だったが、マイナ保険証で既往歴が分かり、適切な応急処置ができた飲んでいる薬が事前に分かったので、緊急オペの事前準備ができたマイナンバーカード活用のことならポケットサインJPKI対応をはじめ様々なサービス開発以上みてきたとおり、マイナンバーカードは健康保険証や救急搬送時の迅速かつ正確な情報共有インフラとしての役割はもちろん、高セキュリティの身分証明書として様々な場面での活用が進んでいます。デジタル社会における本人確認の基盤となることで、私たちの生活をより便利に、そして安全なものへと変えていく原動力となるのです。当社はそうしたマイナンバーカードの可能性を最大限に引き出し、誰もが安心してデジタル社会の恩恵を受けられるよう、公的個人認証サービス(JPKI)*への対応をはじめとした様々なサービスを開発・提供しています。*公的個人認証サービス(JPKI = Japanese Public Key Infrastructure): マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用し、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に認証する仕組みのことです。安全・確実かつ厳格な本人確認が手軽にできる点が特長です。なお、JPKIを他者に提供するには、公的個人認証法に基づき主務大臣の認定を受けて「プラットフォーム事業者」になる必要があります。当社は2023年3月に民間事業者としては16 社目となるプラットフォーム事業者認定を取得しています。・参考:PocketSign VerifyがiOSの「スマホJPKI」に対応(2025年6月24日付プレスリリース)マイナンバーカードの活用場面が広がるに連れ、あらゆる事業者が自社アプリや自社サイト(Webサービス)をJPKIに対応させる必要性がますます増していきます。そこで、自社開発よりもかなり容易にJPKIを導入できるようにするのが、当社ポケットサインのAPIサービス「Pocketsign Verify(ポケットサイン・ベリファイ)」です。Pocketsign Verifyは、JPKI機能を様々なスマートフォンアプリに組み込むための事業者向けAPIサービスです。電子署名技術を用いた全く新しい本人確認によって、ユーザー体験の向上、離脱率の低下、コストの削減が実現できます。なおかつPocketsign Verifyは、マイナンバーカードを使わずにスマートフォンのみで公的個人認証サービス(JPKI)を利用できる「スマホJPKI」への対応を完了しています。・Pocketsign Verifyについて:https://pocketsign.co.jp/service/pocketsignplatform#verify自治体向けに避難所DXもまた、地方自治体や民間事業者向けのJPKIに対応したスマートフォン向けアプリ 「ポケットサイン」は、防災や地域ポイント、お知らせ機能など、複数の行政・地域サービスをひとつに集約できるスーパーアプリです。その中でも、スマートフォンとJPKIを用いて迅速かつ正確な避難支援を実現するミニアプリ「ポケットサイン防災」は、宮城県などをはじめ多くの都道府県と市区町村で利用されています。当社はこれまでの豊富な支援実績と「ポケットサイン防災」の機能を通じて、貴自治体の防災訓練が抱える課題の解決、そしてより実践的で効果的な訓練への進化をサポートします。「ポケットサイン防災」を活用した避難所のDXに関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。・ポケットサイン防災の詳細はこちら:https://pocketsign.co.jp/service/miniapp/disこのほかにも、マイナンバーカードのご活用に関する事柄は、ぜひ実績豊富な当社にご相談ください。▼問い合わせはこちらからhttps://pocketsign.co.jp/contact▼ポケットサインについてはこちらhttps://pocketsign.co.jp/