自治体の健康ポイント事業とは?導入メリット・課題・事例5選を解説
2026-06-02
健康ポイント事業は市町村の約3割、都道府県の約5割が既に導入済みとなり、住民の健康寿命延伸や医療費削減を目指す取り組みとして全国に広がっています。一方で、「単発のキャンペーンで終わってしまった」「高齢者にアプリが届かない」「複数アカウントによる不正受給が防げない」といった運営上の課題に直面する自治体も少なくありません。
本記事では、自治体の健康づくり担当職員の方に向けて、健康ポイントの仕組み・導入背景・メリットから全国の自治体事例、そしてマイナンバーカード連携による課題解決まで、実務担当者が参考にできる情報を整理します。

目次
- 健康ポイントとは?自治体が運営する「健康ポイント事業」の仕組み
- ポイントが付与される主な行動
- 参加方法:紙・スタンプ型 vs デジタルアプリ型
- 健康ポイントと地域ポイントの違い
- 自治体が健康ポイントを導入する背景
- 国民医療費の増大と高齢化の加速
- 健康日本21(第三次)による政策的後押し
- 地域未来交付金など財源面の後押し
- 健康ポイント導入によって得られる3つのメリット
- メリット①:医療費・介護費の抑制
- メリット②:健康無関心層へのアプローチ
- メリット③:行政コストの削減と事務効率化
- 自治体の健康ポイント導入事例5選
- 宮城県|みやぎ健康ウォーク(マイナンバーカード連携型)
- 静岡県|ふじのくに健康マイレージ(広域連携型)
- 栃木県宇都宮市|「うつのみや健康ポイント事業」(民間連携・アプリ型)
- 福岡県|ふくおか健康ポイントアプリ(県共通アプリ型)
- 群馬県|群馬県公式アプリ「G-WALK+」(先進ICT型)
- マイナンバーカード連携の健康ポイントなら「ポケットサイン」
- 特徴①:マイナンバーカードで「1人1アカウント」を保証し、不正受給を防ぐ
- 特徴②:防災・地域ポイント・子育てと横断できるアプリ基盤
- 特徴③:Web版対応でアプリDL不要、既存サービスとの連携も可能
- 自治体向けに無料トライアル実施中
健康ポイントとは?自治体が運営する「健康ポイント事業」の仕組み
健康ポイント事業とは、住民がウォーキングや健康診断受診、スポーツイベントへの参加といった健康行動を行うと、自治体からポイントが付与される仕組みです。貯まったポイントは、商品券・地場産品・市有施設の利用券などの特典との交換、そのまま買い物に利用、抽選への参加など、自治体によってさまざまな形で活用できます。
「健康マイレージ」「健康ポイント」「健幸マイレージ」など、自治体によって名称は異なりますが、基本的な仕組みは同様です。住民の自発的な健康づくりを促し、医療費削減や健康寿命の延伸を目指す取り組みとして、全国各地で導入が広がっています。
ポイントが付与される主な行動
ポイント付与の条件は自治体ごとに設定しますが、代表的な対象行動は以下の通りです。
歩数・ウォーキング(スマートフォンアプリや歩数計と連携し、日々の歩数を自動計測)
特定健診・がん検診・人間ドックなどの受診
健康教室・スポーツイベント・ボランティアへの参加
体重・血圧・血糖値などの健康記録の入力
BMIの改善や体重適正化といった健康目標の達成
参加方法:紙・スタンプ型 vs デジタルアプリ型
初期の健康ポイント事業では、紙のスタンプカードや活動記録票が主流でした。住民が記録票に手書きで記入し、定期的に窓口へ提出する形式は事務負担が大きく、職員が手作業で集計・確認を行う必要がありました。
近年はスマートフォンアプリを活用したデジタル型が主流です。歩数の自動計測、ポイントの即時付与、オンラインでの特典交換が可能になり、住民・自治体双方の利便性が大幅に向上しました。さらに、マイナンバーカードと連携したデジタル型では、登録時の本人確認・居住地確認をシステムが自動処理するため、より公平・正確な運用が実現できます。
健康ポイントと地域ポイントの違い
「地域ポイント」は自治体が住民の消費活動や地域貢献・健康増進など様々な行動に対してポイントを付与し、地域経済の活性化や住民の行動変容を促す施策です。一方「健康ポイント」は健康に資する行動に特化してポイントが付与される点が特徴です。
目的・付与条件が異なりますが、デジタルプラットフォームを共通化することで、健康ポイントで貯めたポイントを地域通貨として地元店舗で使えるよう設計している自治体も増えています。
▼地域ポイントについての記事はこちら
地域ポイントとは?導入メリットと成功事例7選|マイナンバーカード連携がカギとなる理由 - ポケットサイン株式会社
自治体が健康ポイントを導入する背景
国民医療費の増大と高齢化の加速
厚生労働省によると、2024年度の医療費(概算)は48兆円と4年連続で過去最高を更新しました。なかでも75歳以上の医療費は19.6兆円で全体の40.8%を占め、1人あたり医療費は97万4,000円と75歳未満の約3.8倍に達しています。
65歳以上の医療費は全体の6割超を占めており(令和5年度国民医療費概況)、団塊の世代が75歳以上になり始めた現在、今後もさらなる増大が見込まれます。自治体の国民健康保険財政への影響は直接的であり、医療費の適正化は自治体財政の喫緊の課題です。
出典:
厚生労働省「令和5年度 医療費の動向」(2024年9月)
厚生労働省「令和5年度 国民医療費の概況」
健康日本21(第三次)による政策的後押し
厚生労働省は2023年から「健康日本21(第三次)」をスタートし、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を主要目標に掲げています。本方針では、食事・運動・喫煙・飲酒・歯・口腔の健康など生活習慣の改善を促すとともに、社会環境の整備や自治体による健康づくり施策の強化が求められています。
健康ポイント事業は、住民の自発的な健康行動を「見える化・報酬化」することで行動変容を促す取り組みとして、この政策方針と合致した手段として位置づけられています。
地域未来交付金など財源面の後押し
国は「地域未来交付金」をはじめ、自治体のデジタル化・住民サービス向上を支援する複数の財源を設けています。健康ポイント事業のデジタル実装は、同交付金のデジタル実装型の活用対象にもなっており、初期コストを抑えて導入できる環境が整いつつあります。
なお、同交付金は令和7年度(2025年度)まで「新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金)」、それ以前は「デジタル田園都市国家構想交付金」として運営されていたものです。
2026年度より新たな名称となった地域未来交付金については、以下のお役立ち資料で概要や変更点をご確認いただけます。
▼地域未来交付金の概要資料はこちら
地域未来交付金制度概要と申請ポイント - ポケットサイン株式会社
健康ポイント導入によって得られる3つのメリット
メリット①:医療費・介護費の抑制
健康ポイント事業の最大の目的は、住民の健康行動を習慣化させることによる医療費・介護費の抑制です。特定健診の受診率向上や生活習慣病の早期発見・重症化予防につながり、長期的には国民健康保険財政への負担を軽減します。
厚生労働省が公開する健康づくりに向けたガイドライン(※)においても、健康ポイント等のインセンティブ施策が医療費適正化に資するとして推奨されており、保険者努力支援制度の評価指標にも組み込まれています。
※参考:厚生労働省|個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する 取組に係るガイドライン
メリット②:健康無関心層へのアプローチ
従来の健康施策は、もともと健康意識の高い住民にしか届かないという課題がありました。健康ポイントのインセンティブ設計は、「ポイントをもらえるなら試してみよう」という動機から、これまで健康行動を取ってこなかった層を巻き込む効果があります。
宇都宮市「うつのみや健康ポイント」では、スマートフォンアプリで自動的に歩数が記録されるため、特別な意識をしなくても自然にポイントが貯まる仕組みを採用。岡山市の「健幸ポイントプロジェクト」事業報告によると、参加者の1日の歩数が事業開始後に2,000歩以上増加し、その水準が18ヶ月後も維持されるなど、具体的な行動変容につながった実績が記録されています(出典:岡山市「健幸ポイントプロジェクト」事業報告)。
また、ランキング機能や仲間との競い合いを取り入れることで、ゲーム感覚で継続できる設計にしている自治体も多く、若い世代から高齢者まで幅広い層の参加を促しています。
引用:岡山市|健幸ポイントプロジェクト 取組状況・2年後の成果 より
メリット③:行政コストの削減と事務効率化
紙の記録票・商品券の印刷・配送・集計・窓口対応といった作業が、デジタル化によって大幅に省力化されます。
さらに、マイナンバーカード連携型の場合は本人確認・居住地確認がシステムで自動処理されます。従来は窓口で身分証確認をしていた作業が不要になるため、「特定の住民のみ対象」とした施策でも、申請書類の審査なしにシステムが自動で対象者を判定・ポイントを付与できます。紙の申請・集計業務がデジタル化されることで、担当職員の事務負担を大幅に削減できます。
自治体の健康ポイント導入事例5選
全国で多様な形式の健康ポイント事業が展開されています。設計の参考となる5つの事例を紹介します。
宮城県|みやぎ健康ウォーク(マイナンバーカード連携型)

宮城県は、メタボリックシンドローム該当者・予備群の割合が特定健診開始以来16年連続でワースト4位以内という深刻な課題を抱えています。その歩数不足解消のため、2024年5月からみやぎ県民公式アプリ「ポケットサイン」のミニアプリとして「みやぎ健康ウォーク」を導入しました。
日々の歩数をスマートフォン(Appleヘルスケア・Google Fit連携)で自動計測し、全ユーザー間・市区町村内・同世代内の歩数ランキングを表示。2025年度からはみやぎポイント(1P=1円、県内約1,270店舗で利用可能)をインセンティブとして贈呈する仕組みも整備されています。
リリースから2年足らずで利用者数は約7.2万人(2026年2月時点)に達し、2025年春のキャンペーン期間中には1日8,000歩以上歩くユーザーの割合が3割から4割に増加。「歩数が増えた」「歩く習慣、運動習慣のきっかけになった」という声も多く寄せられています。また比較的ご年配の方の利用者が多く、高齢者層を含む幅広い年代に受け入れられており、令和6年度のアンケートでは「日頃からよく使うミニアプリ」第1位を獲得しています。
運用担当の宮城県保健福祉部健康推進課・平原様は「ポケットサインは『みやぎ県民公式アプリ』という大前提があるので、ふだん健康を意識していない方にもアプローチする仕掛けになると期待していた」と語っており、その効果が実証されています。
出典:
宮城県公式「健康増進ミニアプリ『みやぎ健康ウォーク』」
宮城県公式「みやぎ健康ウォーク 春の歩数アップキャンペーン」
▼宮城県担当者インタビューの詳細はこちら
ウォーキングアプリを普段使いに|「健康みやぎ」の実現に向けた宮城県の挑戦
静岡県|ふじのくに健康マイレージ(広域連携型)

静岡県では、県と全35市町が協働して「ふじのくに健康マイレージ」を実施しています。住民は2週間単位で運動・食事・健診受診など自分で設定した健康行動に取り組み、記録用紙に記入して市町の窓口に提出します。
付与対象の主な行動は、毎日の運動(歩く・自転車に乗るなど)、規則正しい食生活(塩分控えめ・野菜摂取など)、特定健診・がん検診などの受診(10ポイント加算)、健康づくりイベントや社会参加活動などです。
一定ポイントを達成すると「ふじのくに健康いきいきカード」が発行され、県内の協力店でドリンクサービスや割引などのサービスが1年間受けられます。さらに達成者の中から抽選でプレゼントも用意されており、参加動機の多様化を図っています。全市町共通のカード制度を採用し、住民が県内のどこの協力店でもサービスを受けられる広域連携モデルとなっています。
栃木県宇都宮市|「うつのみや健康ポイント事業」(民間連携・アプリ型)

栃木県宇都宮市では、2018年から「うつのみや健康ポイント事業」を実施しています。専用スマートフォンアプリまたは紙の活動記録票の2方式に対応し、幅広い年代が参加できます。
ポイント付与の主な対象行動は以下の通りです。
歩行・自転車移動(歩数に応じて自動計測):最大30ポイント/日
体重の記録(アプリ入力):5ポイント/日
特定健診の受診:50ポイント
がん検診・歯科健診等の受診:各50ポイント
BMI適正化の達成:50〜100ポイント
年間最大5,000ポイントをQUOカード・図書カード・市有施設利用券などと交換可能。さらに3,000ポイント到達者には協賛企業100社超からの豊富な特典(飲食店割引・スポーツクラブ招待券・温泉入館券・プロスポーツ選手サイン入りアイテムなど)の抽選参加権も付与されます。アプリが歩数を自動記録するため、住民が意識しなくてもポイントが貯まる仕組みも好評です。
福岡県|ふくおか健康ポイントアプリ(県共通アプリ型)

福岡県では、「ふくおか健康づくり県民運動」の一環として2020年から健康ポイントアプリを運用しています。ヘルスケアアプリ(iPhone)やGoogle Fitとの連携で日々の歩数を自動記録するほか、健診受診・体重・血圧・食事バランスの記録でもポイントが貯まります。
歩数・健診受診・健康記録に応じてポイントを自動付与
個人別・グループ別・市町村別の歩数ランキング機能で競争意欲を喚起
300ポイントでクーポン発行、協力店でのサービスに利用可能
毎月抽選会を実施(2,000円分QUOカードPayなど)
県内各市町村が独自の上乗せ特典を提供可能
県が共通プラットフォームを提供し、各市町村がその上に独自施策を上乗せできる設計のため、個別にアプリを開発するコストが不要で、リリース後5年で安定運用の実績があります。
群馬県|群馬県公式アプリ「G-WALK+」(先進ICT型)

群馬県は、厚生労働省の「地域活性化モデルケース」に選ばれた先進的な健康ポイント制度事業を推進しています。ICTを活用し、スマートフォンで日常的な健康行動を記録・ポイント化する仕組みを全国に先駆けて整備してきました。
歩数目標の達成、がん検診・特定健診の受診、禁煙・減塩などの生活習慣改善、スポーツや健康イベントへの参加などでポイントが付与されます。貯まったポイントは商品券や地場産品などと交換でき、民間事業者との連携によって特典の充実を図っています。ICT活用の先駆的モデルとして多くの自治体が参考にしている事例です。
出典:
厚生労働省|ICTを活用した健康ポイント制度事業(群馬県)
群馬県|ぐんま健康ポイント制度 G-WALK+について
マイナンバーカード連携の健康ポイントなら「ポケットサイン」

事例⑤でご紹介した「みやぎ健康ウォーク」を支えているのが、ポケットサイン株式会社が提供する自治体公式アプリ「ポケットサイン」です。健康ポイントの導入・継続運用において多くの自治体が直面する課題を、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)をベースにシステムで解決しています。
特徴①:マイナンバーカードで「1人1アカウント」を保証し、不正受給を防ぐ
メールアドレス登録型アプリでは、同一人物が複数のアカウントを作成してポイントを不正取得する問題が起きやすく、議会での追及リスクにもなります。「市外からの申し込み者をどう排除するか」という確認作業も、職員に大きな負担を強いてきました。
ポケットサインではアプリ登録時にマイナンバーカードの電子証明書で本人確認を実施するため、物理的に複数アカウントの作成が不可能です。カード内の住所情報から居住市区町村を自動判定するため、「対象自治体の住民のみ」「65歳以上のみ」といった条件設定も、申請書類の審査なしにシステムで自動処理できます。
特徴②:防災・地域ポイント・子育てと横断できるアプリ基盤
単独アプリとして健康ポイントを提供した場合、住民がアプリを開くのは「ポイントを確認したいとき」だけになりがちで、事業終了後には使われなくなるリスクがあります。
ポケットサインでは、健康ポイントを防災・地域ポイント・電子申請・お知らせ配信などと同一プラットフォーム上の「ミニアプリ」として提供します。住民が別の用途でアプリを開くたびに健康ウォークへの接触機会が生まれ、継続利用につながります。宮城県では令和6年度のアンケートで「日頃からよく使うミニアプリ」の1位を健康ウォークが獲得しており、日常使いのアプリとして定着しています。また、平時の健康管理から有事の避難所受付まで同じアプリで対応できる「フェーズフリー」設計も、住民に「消さないアプリ」として定着する理由のひとつです。
特徴③:Web版対応でアプリDL不要、既存サービスとの連携も可能
2026年度より、ブラウザで動作する「Web版」の提供を開始します。自治体が既に運用している公式LINEやポータルサイトの中にポケットサインのポイント機能を組み込めるようになるため、住民に新たなアプリのインストールを求める必要がなくなります。高齢者を中心に「スマホに新しいアプリを入れるのが難しい」という障壁はどの自治体でも共通ですが、Web版対応によってその障壁が大幅に下がります。
自治体向けに無料トライアル実施中
ポケットサイン株式会社では、マイナンバーカードを活用した自治体向けDXソリューションの提供・相談を承っています。健康ポイントの新規導入から既存事業のデジタル化・強化まで、まずはお気軽にご相談ください。
▼問い合わせはこちらから
https://pocketsign.co.jp/contact
▼ポケットサインについてはこちら
https://pocketsign.co.jp/
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マーケティングチーム
中西 健太
ポケットサイン株式会社のマーケティング担当として、マイナ活用.comのコンテンツ制作などに従事しています。








